第15回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【UA-6】
社会的対応
痴呆性老人と車の運転
−痴呆性老人の運転能力と運転中止について−
  

高知医科大学神経精神科  上村直人,井上新平
菜の花診療所  北村ゆり,真田順子
   

 痴呆性老人が健常高齢者と比較して交通事故を起こしやすいことは創造するに難くない.しかし現実には交通事故の危険を予測したり,中止を勧告するための一般的な判断基準はない.また精神科医や家族によっても対応が異なっている.そこで今回は痴呆性老人の運転能力と知的機能の関係について検討した.
【対象】H11年12月現在高知医大神経精神科外来通院中で,DSM-IVの痴呆の診断基準を満たし,主治医が車の運転に問題があると判断した者7名中,運転シュミレーションに参加同意の得られた者4名である.
【方法】本人に対して1)免許センターが保持している運転シュミレーションおよび2)道路標識テスト,家族に対しては本人の運転状況に対する問診を行った.そのほか基礎調査事項として年齢,性別,臨床診断,重症度(CDR),HDS-Rを評価した.
【運転能力評価】
1)運転シュミレーション(武井器械制作)
 反応動作,緊張維持,動作注意力,状況処理能力,総合判定判定はコンピューターで行う.
2)道路標識テスト
 一般的な道路標識から15種類を選択し,その名称を尋ねる.
【結果】シュミレーションにおける運転能力はHDS-RよりもCDRがより関連していた.また道路標識の認知度は運転能力と関連性がみられなかった.症例数を増やし検討したい.

2000/07/06


 演題一覧へ戻る