第15回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【TA-20】
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アポリポタンパクEが初期アルツハイマー病に及ぼす影響
−SPECTによる縦断的検討−

国立精神・神経センター武蔵病院  坂本茂貴,松田博史,朝田 隆
宇野正威,中野正剛

 当センターもの忘れ外来を受診しDSM-IVおよび,NINCDS-ADRDAにて継時的に最終的にアルツハイマー病(AD)と診断され,初回時MMSE検査で24点以上あった,初期AD患者37例(APOEε4(+);4+AD 15例,ε4(−);4−AD 21例,施行不能1例)に対し,約1年の間隔を空け,3回の脳血流SPECT(99mTc-ECD Patlak Plot法)および,神経心理学的検査を施行した.
 Statistical Parametric Mapping 96による正常群(年齢をmatchさせた95例)との縦断的解析では,4+AD群は,どの時点でも帯状回後部,楔前部を中心とした頭頂葉の有意な血流低下にとどまったのに対し,4−AD群は,初回時こそは4+AD群と大差がなかったものの,14か月後は海馬,海馬傍回,側頭葉下面,右下前頭回へと,26か月後には側頭葉下面〜外側,右側頭頭頂連合野へと有意な血流低下が広がっていった.神経心理学的検査も,このことを裏づけるかのように,有意差をもって低下していたのは,すべて4−AD群だった.
 以上より,少なくとも初期ADにおいては,アポリポタンパクEε4が存在しないほうが,ADの病勢の進行を促進している可能性がある.

2000/07/05


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