第15回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【TA-19】
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レビー小体型痴呆の臨床症状とSPECT所見の検討
  

山形大学医学部精神神経科  川勝 忍,和田 正,深沢 隆,国井寿樹
鈴木春芳,奥山直行,大谷浩一
秋野病院  林 博史
日本社会事業大学大学院  十束支朗
   

【はじめに】今回,McKeithらの診断基準を用い,レビー小体型痴呆(DLB)が疑われた8症例の臨床症状とSPECT所見の特徴を検討した.
【対象】症例1:初診時69歳女性,65歳,もの忘れ,69歳,幻視,幻聴,独語,パーキンソン(P)症状,HDS-R(H)=25,MMSE(M)=23,74歳,歩行障害,H=2,M=5と進行,76歳,けいれん発作,嚥下障害.症例2:初診時69歳男性,68歳,もの忘れ,抑うつ,不安焦燥,69歳,H=28,M=28,70歳,動作緩慢,失神発作,77歳,痴呆の進行,P症状,失神発作,H=14,M=12.症例3:74歳女性,64歳P症状で加療,74歳,もの忘れ,幻視,H=25,M=23.症例4:70歳女性,68歳,もの忘れ,69歳,P症状と著明な幻視,70歳,H=25,M=23.症例5:78歳男性,69歳,もの忘れ,77歳,体系化した妄想,不安,P症状,78歳,妄想と幻視,H=13,M=19.症例6:72歳女性,70歳,貧困妄想,意欲低下でうつ病として入院,軽快,71歳,再入院するが不変,もの忘れ,見当識障害あり,72歳,紹介転院,P症状,歩行不安定,転倒,口部ジスキネジア,H=13,M=14.症例7:76歳女性,74歳,P症状,口部ジスキネジア,76歳,もの忘れ,一時的な幻視,不安,食欲不振,H=14,M=19.症例8:65歳女性,59歳,動作緩慢,左振戦,P症状,65歳,もの忘れ,幻視,H=21,M=23.
【方法】局所脳血流量はXe-133吸入法での定量的測定とTc-99m-ECDでの定性的測定を併用した.
【結果とまとめ】1)DLBは抑うつ,不安・焦燥が合併しやすく老年期うつ病との鑑別診断として考慮すべき疾患と考えられた.2)HDS-Rは平均18±5.1点,平均MMSEは20±4.3点,全脳平均脳血流量(mCBF)は,42±4.0ml/100g/min(正常値50)で,痴呆の程度は軽度でも血流低下が強い傾向がみられ,かつHDS-R,MMSEとmCBFの相関は,それぞれr=0.77(p=0.03),r=0.69(p=0.06)と高い相関を示した.血流分布については,全例,アルツハイマー型痴呆と同様な側頭頭頂葉での血流低下のパターンで,幻視を有する例で,頭頂後頭部の低下が目立つ傾向がみられたが,Tc-99m-ECDではXe-133より低下は検出しにくかった.

2000/07/05


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