第15回日本老年精神医学会 演題抄録 |
【TA-8】 |
症状学 |
痴呆性疾患患者にみられた悪性症候群の特徴について |
湘南さくら病院・横浜市立大学医学部精神医学教室 角田貞治 |
向精神薬の治療下で出現する副作用のひとつに悪性症候群がある.1960年にDelayが報告して以来,多数の症例が報告されているが,いまだに診断基準は諸家の一致をみず,発症機序も不明な点が多く残されている.最近では,痴呆患者の精神症状や問題行動に対し向精神薬を使用する機会が増えてきており,痴呆患者における悪性症候群の臨床的特徴を知ることは重要である.今回,演者らは,症例1:tiaprideの投与で発症した76歳,男性,アルツハイマー型老年痴呆,症例2:haloperidol,propericyazine投与後におのおの血清CPK高値を特徴とし,悪性症候群を繰返した64歳,男性,アルツハイマー病,症例3:haloperidolの静注後に高熱を呈し,横紋筋融解症による急性腎不全を合併した60歳,女性,前頭側頭型痴呆,症例4:haloperidolの筋注後に急激に悪性症候群を呈した62歳,男性,アルツハイマー病,症例5:tiapride投与中に遅発型の悪性症候群を示した71歳,女性,脳血管性痴呆,症例6:haloperidolの筋注後に発汗が著明となった49歳,男性,進行麻痺の6例の自験例から,痴呆患者にみられる悪性症候群の臨床的特徴について検討した. |
2000/07/05 |