第15回日本老年精神医学会 演題抄録

 

【シンポジウムU;老年期うつ病をめぐって】

老年期うつ病の治療
  

聖マリアンナ医科大学神経精神科  青葉安里
  

 老年期に発症するうつ病は若年期のそれと比べ,単因性というより多因性である.症候論的にも老年期特有の特徴を有し,概して難治性のことが多い.生物学的な視点からの治療は薬物療法と電気ショック治療に大別され,それぞれ老年期特有の配慮が必要である.
 老年期うつ病の薬物療法を行うにあたって,加齢に伴って薬物による有害反応の頻度は明らかに上昇する.この理由は二つあり,一つは加齢に伴う脳の薬物に対する耐用性の低下,他の一つは加齢による薬物動態の変化によるものである.肝臓における薬物の主たる代謝経路には加齢によって影響を受けるものと,受けないものがあり,この点については薬物ごとの体内動態的な検索が必要である.演者がこれまで行ってきた抗うつ薬の血漿中濃度と加齢についての研究結果を概説する.
 電気ショック治療については,修正治療が昨今飛躍的に広がり,治療の安全性を確保できるようになった.演者がこれまで行ってきた,修正電気ショック治療の成績に加え,本治療法を適用する際の考え方について概説する.

2000/07/05


 演題一覧へ戻る