第15回日本老年精神医学会 演題抄録
【シンポジウムU;老年期うつ病をめぐって】
老年期うつ病の臨床−その病態の特徴と治療の工夫−
獨協医科大学 大森健一
老年期うつ病はより若い世代のうつ病と比較してもけっしてまれなものではない. 日常の臨床においても,その診断・治療は重要な課題のひとつである. 初発時年齢で区別すれば,老年期に初発したうつ病とより若い世代で病相を経験したものの再発が区別されるが,その本質においてかわるものではない. しかし,老年期という世代の,脳器質的因子,身体的因子,心理的因子,社会・文化的因子が,老年期うつ病の発症,病像,経過,予後に他の世代のうつ病とは異なる特徴を賦与している.それを視野にいれた理解が老年期のうつ病には重要である.それを踏まえて以下の項目を中心に老年期のうつ病の臨床を論じてみたい. I.老年期のうつ病の特徴ある病像 1)妄想優位のタイプ 2)コタール症候群について 3)意識障害 II.老年期うつ病への治療的戦略 1)発症要因の分析 a)生活史事件と役割 b)脳器質病変 2)病相の遷延化,神経症化への対応 a)環境調整と精神療法 b)修正電撃療法
2000/07/05
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