論文名 | 高齢者の遂行機能評価尺度としての山口符号テストの開発─ 地域での認知症予防介入に向けて ─ |
著者名 | 山口智晴・牧 陽子・海保 歩・荒木祐美・村井達彦・亀ヶ谷忠彦・山上徹也・田中聡一・山口晴保 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,22(5):587-594,2011 |
抄録 | 今回,高齢者の遂行機能評価指標として用いることを目的に,ウェクスラー符号問題(Wechsler Digit Symbol Substitution Test ; WDSST)と類似した,山口符号テスト(Yamaguchi Kanji Symbol Substitution Test ; YKSST)を作成した.WDSSTとの併存的妥当性の検討では有意な相関(r=0.820,p<0.001,n=170)を認めた.YKSSTの再テスト再現性は級内相関係数ICC(1, 1)=0.836,p<0.001(n=74)と良好で,WDSST(ICC(1, 1)=0.753,p<0.001,n=74)より再現性が高い結果が得られた.YKSSTの得点は年齢による影響を強く受け(r=-0.403,n=170),60歳代後半(n=57)で51.8±10.6点,70歳代前半(n=71)で45.8±9.5点,70歳代後半(n=42)では42.1±11.1点であったが,教育年数はわずかな影響であった(r=0.261).YKSSTの健常(CDR 0)と軽度認知障害(CDR 0.5)の弁別的妥当性については,カットオフを44/45点とすることで感度84%,特異度57%で弁別することが可能であった.また,再テストでの学習効果を低減する目的で作成した3バージョンのうち,今回平行性が確認された2バージョンを,地域介護予防事業などでの評価指標として活用されるよう,無料でダウンロードできるようにした(http://orahoo.com/yamaguchi-h/).
|
キーワード | 認知テスト,遂行機能,認知症,介護予防,地域高齢者 |