論文名 | 新規NMDA受容体拮抗剤であるメマンチン塩酸塩の中等度から高度アルツハイマー型認知症に対する第V相試験─ 有効性および安全性の検討 ─ |
著者名 | 中村 祐・本間 昭・北村 伸・吉村 功 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,22(4):464-473,2011 |
抄録 | メマンチン塩酸塩はアルツハイマー型認知症治療薬としては唯一のNMDA受容体拮抗剤であり,海外では中等度から高度の患者に広く使用されている.今回,わが国における中等度から高度アルツハイマー型認知症患者432例を対象に,メマンチン塩酸塩20 mg/日を24週間投与したときの有効性および安全性について,プラセボを対照とした多施設共同二重盲検並行群間比較試験により検討した.SIB-Jでは,投与24週後の得点変化量においてプラセボ群とメマンチン塩酸塩群の間に有意差が認められた.Modified CIBIC plus-Jでは,投与24週後において,プラセボ群とメマンチン塩酸塩群の間に有意差は認められなかったが,メマンチン塩酸塩群の悪化の程度は小さかった.Modified CIBIC plus-Jの下位尺度であるBehave-ADでは,LOCF解析でプラセボ群とメマンチン塩酸塩群の間に有意差が認められた.有害事象発現率および副作用発現率では,両群間に統計学的な差は認められなかった.
以上のことから,メマンチン塩酸塩は,中等度から高度アルツハイマー型認知症患者の認知機能障害に対して有効性を示し,安全性は高く,行動・心理症状(BPSD)にも有効性を示すことを特徴とする薬剤であると考えられた. |
キーワード | メマンチン塩酸塩,NMDA受容体拮抗剤,アルツハイマー型認知症,SIB,CIBIC-plus |