論文名 | レビー小体型認知症に伴う行動心理症状(BPSD)に対するアリピプラゾールの使用経験に基づく私見 |
著者名 | 久永明人・下田 肇・朝田 隆 |
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,21(3):347-355,2010 |
抄録 | 糖尿病を合併したレビー小体型認知症(DLB)に伴う行動心理症状(BPSD)に対してアリピプラゾールを投与し,BPSDの著明な改善が認められたものの,血糖コントロールの悪化に対して追加治療を要した71歳女性の1症例を経験した.アリピプラゾールは12 mgを維持量として5か月にわたり継続投与したが,錐体外路症状(EPS)の悪化はとくになかった.一方,経過中,HbA1cが7.0%から7.9%に上昇し,血糖コントロールの悪化に対してSU剤(グリベンクラミド)の追加投与を要した.本例の経過から,DLBに伴うBPSDに対して,抗精神病薬の投与を必要とするがMARTAを選択できない場合に,アリピプラゾールを用いることでEPSを悪化させることなく治療できる可能性があるとは考えられた.しかし,BPSDへの投与に限らず,アリピプラゾールをハイ・リスク糖尿病合併例に投与する場合,他の抗精神病薬と同様に,血糖上昇の副作用にも十分な注意をはらいつつ慎重に経過観察しなければならないであろう. |
キーワード | レビー小体型認知症,糖尿病,行動心理症状(BPSD),アリピプラゾール,血糖コントロール |