論文名 | 意味性認知症の前駆状態と考えられる2症例 ─ もの忘れドックによる早期発見と神経心理的特徴 ─ |
著者名 | 村山憲男・井関栄三・太田一実・藤城弘樹・長嶋紀一・佐藤 潔・新井平伊
|
雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,21(12):1377-1384,2010 |
抄録 | もの忘れドックで見いだされた意味性認知症(SD)の前駆状態と考えられる2症例について,臨床症状・神経画像・神経心理の特徴を検討した.2症例に共通して,本人に言葉の出にくさの自覚があり,家族から理解の悪さに気づかれていた.頭部MRIで,左側優位の側頭葉前方部の軽度の萎縮が認められた.脳18F-FDG PETでは,側頭葉前方部と一部前頭葉の糖代謝低下が左側優位に認められた.神経心理検査では,いくつかの相違点はあるものの,2症例に共通してWAB失語症検査などの物品呼称はほぼ全問で正解できていたのに対し,WAIS-Vの群指数である言語理解は年齢相応下限域から境界域の得点であった.WMS-Rや前頭葉機能検査はほぼ年齢相応の結果であった.これらの結果から,SDの早期発見には,形態および機能画像検査とともに,神経心理検査のうちWAIS-Vの群指数である言語理解などが有用であると考えられた.
|
キーワード | 意味性認知症,早期発見,18F-FDG PET,WAIS-V,もの忘れドック |