論文名 | アルツハイマー型認知症の本人とその家族が経験する経済的な機会損失に関する研究 |
著者名 | 河野禎之・安田朝子・木之下 徹・稲葉百合子・川嶋乃里子・高桑光俊・奈良岡美恵子・楢林洋介・西村知香・平井茂夫・水上勝義・朝田 隆・小阪憲司
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雑誌名 巻/号/頁/年 | 老年精神医学雑誌,21(11):1237-1251,2010 |
抄録 | 目的:アルツハイマー型認知症(DAT)の本人と家族が経験した,認知症に伴う退職や介護に要する時間などの経済的な機会損失の実態を調査した.対象:DATの本人とその家族105組.手続き:半構造化面接により本人と家族が経験した経済的な機会損失について家族から聴取した.結果と考察:経済的な機会損失を経験した例は,本人では15例(すべて退職),それに伴う年換算の損失金額は140万円であった.家族では28例(退職13例,雇用形態や労働時間の変更などの労働調整15例),年換算の損失金額はそれぞれ521万円,141万円であった.これらのことから,経済的な機会損失は認知症の本人とその家族の毎日の生活において発生頻度,損失金額の両面から深刻な問題であることが示された.一方で,介護保険制度を利用した通所サービスなどを活用しながら雇用形態や労働時間を柔軟に調整することによって損失が軽減されることも示唆された.
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キーワード | アルツハイマー型認知症,機会損失,経済損失,退職,介護負担 |