◆「老年精神医学雑誌」最新刊のご案内◆
 
2010 Vol.21 No.10
 
 
第21巻第10号
(通巻264号)
2010年10月20日
発行
 

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巻 頭 言
精神科病院外来新患患者で認知症の増加
山口成良 1052
特集:認知症をめぐる教育の現状と課題
精神科医における認知症についての教育・研修の現状と課題
前田 潔・山本泰司 1055
かかりつけ医を対象とした教育の現状と課題
── 東京都における行政と医師会の連携と取組みから
玉木一弘 1062
看護師を対象とした教育の現状と課題
堀内ふき 1071
介護支援専門員を対象とした教育の現状と課題
木村隆次 1077
介護福祉士を対象とした教育の現状と課題
井上千津子 1082
社会福祉士を対象とした教育の現状と課題
岡田進一 1089
認知症介護研究・研修東京センターにおける教育の現状と課題
諏訪さゆり 1095
日本認知症ケア学会の立場からの教育の現状と課題
今井幸充 1108
これからの課題と取組み   ── 特集を終えて
本間 昭 1116
原著論文 
重症度に応じたアルツハイマー病患者の言語理解の特徴
爲数哲司ほか 1121
短  報 
フルボキサミンがうつ症状に有効であった高度アルツハイマー病の2症例
成本 迅ほか 1129
連  載:認知症臨床に役立つ生物学的精神医学(1)
認知機能に関与する遺伝子と認知機能の老化
武田雅俊 1135
文献抄録
北村 伸 1147
学会NEWS
1149
第26回日本老年精神医学会開催のご案内
日本老年精神医学会「生涯教育講座」開催のお知らせ
平成23年度日本老年精神医学会専門医認定試験実施のお知らせ
学会入会案内
1166
編集後記
1170




論文名 精神科医における認知症についての教育・研修の現状と課題
著者名 前田 潔,山本泰司
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(10):1055-1061,2010
抄録 1.学部学生に始まり初期研修,専門医研修(後期研修)における精神医学教育のなかの認知症に関する教育および研修についてまとめた.
2.医学教育のなかで精神医学教育の占める割合は大きくない.そのなかで認知症についての教育は当然,わずかとなっている.
3.初期研修では平成21年度まで認知症は必ず経験しなければならない疾患(A疾患)のなかに含まれており,初期研修医はレポートの作成を義務づけられていた.
4.専門医研修中の精神科医にとっては統合失調症,心理療法,薬物療法などに興味が強く,認知症については経験する機会は多くはない.認知症診療に自信をもって診療している精神科医は半数程度と考えられた.
5.今後,精神科医が認知症患者を診療する機会は増加する一方である.まずは指導医の養成,次いで専門医の育成が喫緊の課題であり,疾患としては統合失調症,気分障害に次いで重要な疾患であり,精神科研修のなかで認知症研修に力を注ぐ必要がある.
キーワード 認知症,医学教育,初期研修,精神科研修,認知症専門医
論文名 かかりつけ医を対象とした教育の現状と課題
― 東京都における行政と医師会の連携と取組みから ―
著者名 玉木一弘
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(10):1062-1070,2010
抄録 東京都では,都と医師会の連携により,平成21年度末までに“区市町村を単位とした”「認知症サポート医」260余名が養成され,2,500名を超える「かかりつけ医」が認知症対応力向上研修を修了した.認知症と身体症状の双方に切れ目のない身近な認知症医療の現場づくりに向け,地域医療資源の役割分担の確立,情報共有による医療の質の向上,連携と支援体制の構築等の課題解決を図りながら,サポート医とかかりつけ医のフォローアップ研修に取り組んでいる.
キーワード 認知症,認知症サポート医,かかりつけ医認知症対応力向上研修,認知症医療,地域医療
論文名 看護師を対象とした教育の現状と課題
著者名 堀内ふき
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(10):1071-1076,2010
抄録 看護師を対象とした教育について,看護師基礎教育における現状を,国家試験の出題基準,教科書内容などから述べ,さらに,排泄や食事に関する講義内容の一部を紹介した.さらに,認知症看護認定看護師教育と老人看護専門看護師教育について述べるとともに,一般病院に働く看護師に対する認知症教育の状況を述べた.そして,他職種とのチームアプローチを進めるための他の専門職の役割と機能に対する理解の必要性,今後さらに認知症者が増えるにあたっての,社会的連携を進めるための看護師の役割の重要性を課題として述べた.
キーワード 看護師基礎教育,認知症看護認定看護師,老人看護専門看護師,チームアプローチ
論文名 介護支援専門員を対象とした教育の現状と課題
著者名 木村隆次
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(10):1077-1081,2010
抄録 本稿では, 1.介護支援専門員の資格取得について
2.介護支援専門員の資格更新制について
3.厚生労働省通知「介護支援専門員資質向上事業の実施について」に定める「介護支援専門員資質向上事業実施要綱」での研修課目の問題点
4.介護支援専門員の国家資格化と認知症を含めたカリキュラムの確立
について概説した.
キーワード 介護支援専門員資格取得,資格の更新制,介護支援専門員資質向上事業,専門研修課程T,情報公表制度
論文名 介護福祉士を対象とした教育の現状と課題
著者名 井上千津子
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(10):1082-1088,2010
抄録 認知症高齢者に対する介護ニーズは増大の一途をたどり,いまや社会問題として浮上してきている.その社会的ニーズに対応するために,介護サービスの質と量の確保が喫緊の課題となっている.本稿においては,介護の専門職として位置づけられた「介護福祉士」養成における認知症ケアの教育の実態と課題について述べることとした.内容としては,まず介護をめぐる社会状況を明らかにしたうえで,介護ニーズの多様化・高度化が進むなかにあって,質の高い介護サービスを提供するための専門職である介護福祉士教育の目的と実態について述べ,さらに,その変遷について整理をした.専門職教育のカリキュラム内容を吟味し,介護専門職教育の目指すべき内容を明確にし,人材教育の階層性と教育システムについて提言を行った.
キーワード 認知症,介護福祉士,介護福祉士養成カリキュラム,教育の階層性,教育システム
論文名 社会福祉士を対象とした教育の現状と課題
著者名 岡田進一
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(10):1089-1094,2010
抄録 本稿では,まず現在の社会福祉士養成教育の全体像を国際ソーシャルワーカー連盟による定義と関連づけて述べる.次いで社会福祉士教育における認知症教育の位置づけを述べる.そして,社会福祉士の専門分化を配慮したシステムを構築するため,社会福祉士会が現在検討している認定システム(「認定社会福祉士」と「認定専門社会福祉士」の認定システム)の概要を述べ,最後に,社会福祉士に対する認知症教育の今後の課題を述べたい.
キーワード 社会福祉士,認定社会福祉士,認定専門社会福祉士,IFSW,キャリアパス
論文名 認知症介護研究・研修東京センターにおける教育の現状と課題
著者名 諏訪さゆり
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(10):1095-1107,2010
抄録 21世紀の重大課題である認知症高齢者対策の基盤づくりのため,認知症ケアの質の向上を目指して,認知症介護研究・研修東京センターは設立された.ここで実施されている認知症介護指導者養成研修は一定の評価を得ているが,研修の学習内容の源泉となる研究では,認知症ケアの現場とのずれが生じ始めている.このセンターには,研究によるエビデンスのある認知症ケアの確立とその普及・定着のための効果的な研修の実施を目指して,これまでの実績を振り返り,今後の方向性を定めることが求められている.
キーワード エビデンス,現任教育,普及,定着,効果
論文名 日本認知症ケア学会の立場からの教育の現状と課題
著者名 今井幸充  
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(10):1108-1115,2010
抄録 2000年に創設された日本認知症ケア学会は,現在学会員が約17,000人であり,また2005年からは認知症ケア専門士制度を開始し,その数は2010年現在,約20,000人に達した.また,日本認知症ケア学会のこの10年間の活動を振り返ると,教育講演をはじめ地域における認知症対応実践講座,地域部会などさまざまな活動を通して会員や認知症ケア専門士に対する生涯学習を推進してきた.ここでは,これらの活動の概要やその効果について述べ,今後の認知症ケアの教育実践の課題について考察する.
キーワード 認定制度,認知症ケア専門士,生涯学習,教育効果,認知症
論文名 重症度に応じたアルツハイマー病患者の言語理解の特徴
著者名 爲数哲司,庄司紘史,新福尚隆,松尾 充   
雑誌名
巻/号/頁/年
老年精神医学雑誌,21(10):1121-1128,2010
抄録 アルツハイマー病(AD)と診断された21例をFunctional Assessment Staging of Alzheimer's disease(FAST)に従って分類し,国リハ式〈S−S法〉言語発達遅滞検査およびMini-Mental State Examination(MMSE)を使用して言語機能と認知機能の検査を行った.その結果,FASTのstageが進行するほど,言語発達レベルも退行していることがわかった.各FAST stageの言語発達レベルの特徴はFAST stage 4の症例では,少なくとも3語連鎖の理解が可能で,大半は語順の変換された文の理解が可能であるが,助詞による文の理解は,ほとんどが検査基準を通過できなかった.FAST stage 5の症例では2語連鎖か少なくとも単語の理解が可能であり,3語連鎖は全員が通過できなかった.FAST stage 6の症例では単語の理解のみが可能なレベルであった.先行研究では,AD患者の統語機能は保持されていると報告しているものがある.しかし,今回筆者らが得た結果からFAST stage 4(軽度レベル)より統語理解障害がみられることがわかった.これらの知見は,AD患者へのケアに際しては,重症度に応じた簡単な文のレベルの使用が必要とされることを示した.
キーワード アルツハイマー病,言語機能,FAST,MMSE,S−S法
 


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