論文名 |
新高齢者介護制度下における「利用者主体」の仕組みとその現状
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著者名 |
中野いく子
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
24
(
1
)
:
11-16,
2002
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抄録 |
高齢者介護を社会全体で支える新しい仕組みが,介護保険制度の導入により創設された.公が要介護者に直接サービスを提供する措置制度から,要介護者が事業者と契約して利用したサービスの利用料を補助する利用制度に変わった.「利用者主体」が理念となり,実質的な「利用者主体」のケアをどうすれば実現できるのかが課題となってきた.その課題に取り組んだのが本特集である.本稿では,特集テーマに切り込む前提として,この改革で導入された「利用者主体」を保障する仕組みとその現状を概観する.「利用者主体」は,@自己選択・自己決定の権利,A利用者としての利益・権利の2つの保障からなると考えられる.前者については,@情報提供,A複数の選択肢,B判断能力低下を支援する権利擁護,後者については,@尊厳の保持,A苦情解決,B質の高いサービスの提供を柱として,どのような仕組みが組み込まれ,運用されているかを紹介し,問題点の指摘を行った.
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論文名 |
利用者主体のケアを実現するための契約
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著者名 |
本沢巳代子
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
24
(
1
)
:
17-22,
2002
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抄録 |
介護保険制度および支援費制度の導入により,従来は措置により提供されてきた介護サービスは,利用者と介護サービス提供事業者・施設設置者との間で締結される契約によることとなった.しかし,介護サービスの利用者は,一般に契約に関する情報・知識に乏しく,契約行為に慣れていないばかりでなく,日常生活を営むために介護を必要とする弱い立場にあり,場合によっては契約内容を理解する能力が十分でないこともありうる.このように利用者の権利侵害が起こりやすい状況の下では,利用者主体のケアを実現するために,一定の内容を盛り込んだ契約書モデルの作成,契約締結過程における利用者支援,判断能力が不十分な利用者のための支援などが必要である.このような観点から,本稿では,介護サービス契約の特徴を明らかにしたうえで,契約書に記載すべき事項,契約締結にあたっての留意事項,成年後見制度・福祉サービス利用援助事業の活用の必要性を論じている.
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論文名 |
利用者主体の暮らしとケアの実現にむけて;痴呆性高齢者グループホームの挑戦
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著者名 |
永田久美子
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
24
(
1
)
:
23-29,
2002
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抄録 |
痴呆性高齢者グループホーム(介護保険上は,痴呆対応型共同生活介護.以下,グループホームとする)は,長年にわたる痴呆ケアの歴史の結実として登場したケアサービスのあり方であり,痴呆の人が『本人主体に人として当たりまえに暮らす』ノーマライゼーションを実現するためにある居住型サービスである.利用者は,痴呆という障害に加え,環境などによって『つくられた障害』をあわせもち,入居にいたるまでさまざまな危機を体験してきている.グループホームへの入居も利用者の新たな危機となる危険がある.入居前後を通じて,利用者自身が「生きる力」を活かして危機を乗り越えていけるように,理念を共有した関係者がチームで支えていくことが重要となる.利用者の主体的な暮らしを支えるためにはグループホーム関係者のみでは限界があり,小規模という特性を活かして日常的に臨機応変に地域の人々と接する機会をつくり,ケアに活かす取り組みが大切だ.それらは地域で暮らす他の痴呆の人のケアサービスを推進する契機ともなる.
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論文名 |
利用者主体の高齢者在宅ケアをめぐる課題;ケアマネジャーの仕事をとおしてみる利用者主体ケアのあり方
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著者名 |
渡部律子
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
24
(
1
)
:
30-38,
2002
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抄録 |
在宅ケアの担い手として,ケアマネジャーの活動をとりあげ,1) これまでのケアマネジメント研究・実践における利用者主体のとりあげられ方,2) 利用者主体実践がぶつかる問題,3) 実践のための重要ポイント,4)
ケアマネジャーの現状と今後の課題,という4点に関して論じた.その結果,従来ケアマネジメントは利用者主体の姿勢をもっていたが,利用者主体という理念の実践応用は容易でないことが明らかになった.そこで,先行研究をもとにして,利用者主体のケアマネジメント実践時の重要ポイントを整理した.160人のケアマネジャーを対象にしたアンケート調査から得られたデータは,ケアマネジャーのもつ可能性と課題の両方を示していた.調査データからも,利用者主体のケアマネジメント実践には,利用者,ケアマネジャー,行政のそれぞれがケアマネジャーの役割を明確に認識し,それを支えていく条件整備が必要であることが示唆されたようであった.
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論文名 |
高齢者施設ケアサービスの評価;英国での最近の試み
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著者名 |
水野洋子,荒井由美子
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
24
(
1
)
:
39-50,
2002
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抄録 |
英国では2000年7月にCare Standards法が成立し,高齢者施設ケアに関して重要かつ画期的な改革が行われている.まず,すべての高齢者ケア施設を一括して取り締まる,新しい独立取締機関“National Care Standards Commission(NCSC)”が設立されている.そして,NCSCによる施設登録・監査などの意思決定時において,その根拠となる最低限の施設ケアの質基準“National Minimum Standards(NMS)”が定められている.これにより,これまで問題視されてきたサービス評価のあり方が,国レベルによりはっきりと示されたことになる.今後は,ある一定レベルに満たない高齢者ケア施設は淘汰されていくものと期待されている. 本稿では,最低基準の設定および,それに基づくサービス評価の徹底を図ることにより,利用者主体のケアサービスの実現に先駆けた英国の試みを検討する.また,英国におけるこれまでの問題点の整理および,わが国の新しい動きも概観し,現行の英国でのとりくみとの比較検討も試みたい.
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論文名 |
障害をもつ高齢者の学習ニーズと活動制限の関連
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著者名 |
藤原瑞穂,堀薫夫
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
24
(
1
)
:
51-60,
2002
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抄録 |
身体機能障害を有する高齢者の活動制限の程度と学習ニーズとの関連を検討することを目的として,兵庫県および大阪府北部地域在住の60歳以上の身体障害者(高次脳機能障害を除く)を対象とする質問紙調査を実施した.364人の有効回答データをもとに,学習の必要性の分析を行い,次いで18個の学習ニーズ群とADLとの関係,ADL・IADLを統合した活動制限の軸との関係を,それぞれ数量化V類によって分析した. その結果,学習の必要性を感じている者が87.3%にのぼること,また活動制限が軽度な層の学習ニーズに「表出的・交流的」活動の傾向が,活動制限が重度な層の学習ニーズに「手段的・社会的」活動の傾向がそれぞれ示された.この結果は,Londonerらが主張した「高齢者には生存のための手段的学習ニーズが強い」という傾向を補強するものであると解釈された.
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論文名 |
特別養護老人ホーム新入居者の生活適応の研究;「つながり」の形成プロセス
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著者名 |
小倉啓子
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
24
(
1
)
:
61-70,
2002
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抄録 |
本研究の目的は,特別養護老人ホーム新入居者が,新しい環境で安定していく初期適応プロセスを明らかにし,援助的視点を得ることである.新入居者15人への面接,観察,ケア記録により得た資料,すでに入居している17人の入居時の資料をグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.その結果,新入居者は主体的能動的に環境に働きかけ“入居者が,ホームの環境や人,モノとの間に安心して自分らしく生活できるような関係を形成すること”という「つながり」をつくり,自分なりの生活を形成していくことがわかった.「つながり」形成に向け,入居者は「素材スパーク体験」「リリーフ体験」「思いに添ったケア体験」「目的のある関わり」などを活用し,自分とホームとを結ぶ「つなぎ素材」と「かみ合う対人交流」をつくっていた.初期適応の援助には,新入居者が自分らしさや自立意欲をもてるような生活素材と気持ちが通じ合う対人交流の提供が重要である.
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論文名 |
高齢者のセクシュアリティに関する知識と態度の日本語版評価尺度(ASKAS‐J)の作成
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著者名 |
赤嶺依子,萩原明人,與古田孝夫,Mary Anne McMackin,蔡淑娟,信友浩一
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
24
(
1
)
:
71-79,
2002
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抄録 |
高齢者のセクシュアリティに関する知識と態度を評価する尺度(ASKAS)の日本語版(ASKAS‐J)を作成し,その標準化を目指すことを目的に,尺度の有用性および知識と態度の関連性を検討した.大学生(保健学科学生)133人と老人ホームのケアスタッフ108人を対象に質問紙調査を実施し(回収率:81.8%),そのうち有効回答が得られた学生110人とケアスタッフ57人を分析対象とした.ASKAS‐Jの信頼性はTest‐retest法によるピアソンの相関係数とクロンバックのα係数の算出,妥当性は因子分析法による検討,知識と態度の関連性はピアソンの相関係数を求めることで検討した.その結果,1) ASKAS‐Jにおけるピアソンの相関係数は知識が0.82,態度が0.76,また,クロンバックのα係数は知識が0.90〜0.94,態度が0.85〜0.88の範囲内にあり,高い信頼性が示された(p<).2)
因子分析では2因子が抽出され,ほとんどの変数(項目)で因子負荷量が0.35以上を示し,妥当性がおおむね支持された.3) ASKAS‐Jにおける知識と態度の関連性では正の相関関係が示された(r=0.44〜0.51,p<0.01).以上の結果より,ASKAS‐Jはわが国の老人ホームケアスタッフや保健医療系学生を対象とした高齢者の性に関する知識と態度を測定する尺度として有用と考えられる.
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論文名 |
在宅高齢介護者の疲労感とその要因分析
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著者名 |
陶山啓子,河野保子
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
24
(
1
)
:
80-89,
2002
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抄録 |
在宅介護者の疲労感を高齢介護者と非高齢介護者それぞれに定量的に把握するとともに,高齢介護者の疲労感に影響を及ぼす要因を非高齢介護者と比較し,高齢介護者の介護疲労感の特性を明らかにすることを目的とした.対象は,在宅で高齢者を介護している高齢介護者103人と非高齢介護者102人である.疲労感の測定は,蓄積的疲労徴候調査を用いた.疲労感に影響を及ぼす要因として,介護状況,介護を受けている高齢者の身体機能(バセルインデックス)を調査した.高齢介護者の疲労感は非高齢介護者に比べて,「気力減退」「一般的疲労感」が高かった.高齢介護者と非高齢介護者の疲労感に異なる影響を及ぼす要因は,性別,世帯人数,介護期間,そして,要介護高齢者の身体機能であった.非高齢介護者は,3人以上の世帯や介護期間が長い者に疲労感が低かった.高齢介護者では,女性や部分介助をしている者に疲労感が高かった.
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