論文名 |
21世紀の高齢社会と老年社会科学のフロンティア;大衆長寿と高齢者のライフスタイル
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著者名 |
嵯峨座晴夫
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
324-330,
2000
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抄録 |
本論は,21世紀を大衆長寿時代と捉えて,そこでの高齢者の生き方としてなにが求められているかを,ライフスタイルを手がかりとして考察することを目的とする。ここでの仮説は,大衆長寿時代としての21世紀はデモグラフィックな面では画一化がますます進むことになるが,一方ではライフスタイルの多様化を促す条件が出現するので,画一化の力に抗してライフスタイルの多様化をはかりながら高齢者の生活の質を確保することが最大の課題となるとするものである。本論の前半では,近代化がもたらした顕著な社会変動で,かつ21世紀のライフスタイルを規定することになると思われるものを4つとりあげて検討する。後半では,21世紀における主要な3つの新しいライフスタイルをとりあげ,その光と影を考察する。そして,新しいライフスタイルの限界を克服するための価値体系の構築を提案する。
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論文名 |
21世紀の高齢社会と老年社会科学のフロンティア;老いの意味と新家郷論
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著者名 |
木下康仁
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
331-337,
2000
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抄録 |
21世紀の高齢社会の主要な特性のひとつは,地域社会の質的変容であると考えられる。今後高齢化の進展につれ,多数の高齢者が,多様な心身状態において,また,それに対応する種々のサービスを利用しつつ,地域社会で生活するようになる。老衰とケア,そして死も家庭や施設に閉塞するのではなく,これまで以上に地域社会的出来事となろう。老いの自然的プロセスが地域社会において日常化する。 他方,都市部を中心に地域社会は,多様な関心にそってさまざまに活動する技(スキル)を有する住民たちの関係創出の場となりつつある。産業社会や個人主義の成熟を背景とするこうした住民の活動は,価値観やライフスタイルの変容を示唆しており,コミットメントの対象としての地域社会の重要性は増している。 この二つの時代的潮流が合流するところでは,老いの意味の理解と共有を媒介として,近代的思考の限界を超えたより人間的なコミュニティが構想される。
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論文名 |
21世紀の高齢社会と老年社会科学のフロンティア;日本の老年社会科学から
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著者名 |
秋山弘子
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
338-342,
2000
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抄録 |
1980年代に登場した"successful aging"という概念は高齢社会のキャッチフレーズとして広く用いられてきた。欧米のプロテスタント文化圏における基本的価値である"自立"(independence)と"生産性"(productivity)の維持を目標とする"successful aging"の研究と運動は高齢者の可能性を追求し,多くの不可能を可能にしてきた。同時に,こうした"successful aging"の画一的な概念化は後期高齢者の急増する今日,"自立して生産的"でない欧米の高齢者に落伍者という自覚をいだかせるとともに,自立のイデオロギー化は,周囲のサポートが最も必要な時に,依存を避けるために自ら人との結びつきを絶つという,高齢者の孤立化を招いている。人間関係の希薄化が懸念される新世紀の主要な課題は,「自立」と「連帯」を共に達成することであろう。日本にはその挑戦に応える土壌があるように思われる。個人の自立を促進すると同時に,イエや会社など日本の共同体における「しがらみ連帯」の伝統のもとで培われた連帯への志向とエネルギーを,自立した個人と個人の自発的な結びつきによる連帯へ変換することができれば,われわれは後期高齢期をも射程にいれた"successful aging"の概念化に大きな貢献をすることになろう。
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論文名 |
農村の中高年有配偶女性における主観的家族関係の追跡研究;「理解」と「頼り」の認知からみた情緒関係
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著者名 |
佐藤宏子
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
343-356,
2000
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抄録 |
静岡県郡部の農村地域において,1982年と1993年の2回にわたって中高年有配偶女性の追跡調査を実施し,中高年有配偶女性の主観的な家族関係を「理解」と「頼り」の認知という2つの側面から明らかにした。調査したダイアドは,対象者と夫,子ども,夫の父,夫の母,父,母との6つであり,82年と93年における「理解」と「頼り」の認知の差異,各出生コーホートの「理解」と「頼り」の認知の特徴,82年と93年の2時点間における「理解」と「頼り」の認知の変化について分析,考察した。この結果,82年と93年の2時点間で,夫とのダイアドにおける「理解」と「頼り」の認知は変化が小さいが,「理解」の高まりと,「頼り」の低下がみられる。子どもとのダイアドでは,年下コーホートにおける「理解」の低下と,年長コーホートにおける「頼り」の低下が顕著である.親とのダイアドでは,全般に「理解」と「頼り」の低下が著しいが,年長コーホートの夫の母「理解」は高水準で維持され,中間コーホートの夫の親「理解」と年下コーホートの母「理解」は深まっている。さらに,「農家」・「農業者」である影響力は,93年には夫の母とのダイアドのみに認められた。
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論文名 |
高齢者の保健福祉サービスの認知への社会的ネットワークの役割;手段的日常生活動作能力による差異の検討
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著者名 |
小林江里香,杉澤秀博,深谷太郎,柴田博
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
357-366,
2000
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抄録 |
本研究は,保健福祉サービスの認知における社会的ネットワークの役割を,IADLのレベル別に検討したものである。分析データは,全国から無作為抽出された60歳以上の高齢者2,447人を対象とする面接調査に基づく.検討したネットワークは,配偶者,同居子,別居子,友人,近隣の人,地域組織の6種類であった。重回帰分析の結果,別居子との交流はIADL非自立者においてのみサービス認知を高めており,自力での情報収集が難しい高齢者にとって別居子が重要な情報源であることが示された。同居子の存在とサービス認知の関連は,IADL非自立者では見られず,IADL自立者では有意な負の関連があった。同居子は公的なサポートに代わるサポートを提供することで高齢者の保健福祉サービスへの関心や認知を低めている,つまり負の効果が情報源としての正の効果を相殺している可能性がある。家族以外のネットワークでは,IADLにかかわらず地域組織への参加がサービス認知を有意に高めていた。
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論文名 |
高齢期における親しい関係;「交遊」「相談」「信頼」の対象としての他者の選択
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著者名 |
西村昌記,石橋智昭,山田ゆかり,古谷野亘
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
367-374,
2000
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抄録 |
高齢期の親しい関係を「交遊」「相談」「信頼」の3種の関係によって操作的にとらえ,それらの関係を有する他者の続柄をもとに,親しい関係の構成と特質について検討した。調査は,全国の65歳以上の高齢者3,000人を対象として訪問面接法によって実施され,1,954人より回答を得た.対象者には,「交遊」「相談」「信頼」の相手となる他者を純粋想起で各3人まで回答するように求め,その続柄を配偶者,子ども,その他の親族,友人・知人に分類した.日常的な接触と関心の共有を必要とする「交遊」では,非親族である友人・知人が選択されることが多かったのに対して,関与と負担を必要とする「信頼」と「相談」では,親族,とりわけ配偶者や子どもが選択されることが多かった。また,女性はより多面的な対象選択を行っているのに対して,男性は配偶者中心であり,無配偶の男性では関係を有する他者がいない者が多かった。これらの結果から,男性の場合には,配偶者の喪失がネットワークの縮小に直結する可能性のあることが示唆された。
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論文名 |
高齢者の介護に対する認識;介護のエンパワーメント教室参加後の質的データ分析から
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著者名 |
佐伯和子,和泉比佐子,澤田いずみ
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
375-384,
2000
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抄録 |
高齢者自身の介護についての認識を明らかにすることを目的とした。対象は60歳以上の健康な高齢者で,老人クラブで行った介護のエンパワーメント教室の参加者である。データ収集は実施1か月後に半構成で自由記載の質問紙を郵送にて配布回収し,有効回答が得られた101人の記載文を質的データとして分析した。高齢者は介護について,介護の大変さと在宅希望を挙げており,この2つの意識が高齢者の介護についての認識の中核となっていた。さらに在宅介護について,4つの認識が認められた。第一に在宅介護のためには社会資源の充実が必要であるという介護の社会化の意識,第二は安心できる介護のためには準備が必要であるという学習の必要性の認識,第三に健康の自己管理が重要という認識,最後は介護に対し介護は無理であるという無力(パワーレス)を表現したものであった。これらは介護をする立場,される立場の両面から認識されていた。さらに介護問題を考えることから発展して,自分の老後の生き方を積極的に考えていた。高齢者は介護問題を自分がかかわるべき社会的課題として認識しており,今後,行動化に向けてパワーを拡大する健康教育が重要と考えられる。
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論文名 |
老年期の親子関係;親に対する子どもの勢力基盤認知
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著者名 |
梼木てる子,内藤佳津雄,長嶋紀一
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
385-394,
2000
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抄録 |
本研究では,「お互いの感情的つながり」である凝集性機能を低下することなく,「発達的または状況的ストレスに応じて関係を変化させる」という順応性が柔軟に機能することが良好な親子関係であるという視点に基づいている。そこで,相手に従う源泉として,相手をどのように認識しているかという勢力基盤認知と凝集性尺度を用いて成人した子どもの側から老年期の親子関係を検討した。対象者は実父母と別居にある首都圏在住の幼稚園児の親333人である。対象者の平均年齢は36.5歳,その親は66.2歳であった.結果は,1)勢力基盤認知尺度を因子分析したところ,8つの因子が見いだされ,相対的に高く評価されているのは「魅力・親近感による要因」と「正当性による要因」であった.2)凝集性機能を高める方向に影響を及ぼす勢力基盤認知因子はすべての親子の組み合わせにおいて「魅力・親近感による要因」が示された。逆に凝集性機能を低める方向に影響する勢力基盤認知因子は,息子の母に対する「正当性による要因」,娘の父に対する「態度による要因」,娘の母に対する「身体的要因」であった。そこで,親に従うという行動は同じであっても当事者のある行動に対する認知の相違が良好な親子関係を築くうえでの一つのポイントになると考えられる。
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論文名 |
農村在宅高齢者におけるソーシャルサポート授受と主観的幸福感
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著者名 |
金恵京,甲斐一郎,久田満,李誠國
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
395-404,
2000
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抄録 |
本研究では,農村在住の60歳以上の高齢者(男性580人,女性748人)を対象に,サポート授受と主観的幸福感との関係を高齢者との続柄別に検討することを目的とした。分析では,配偶者サポート,子どもサポート,友人サポートを独立変数とし,主観的幸福感を従属変数とした重回帰分析を行った。社会経済的要因とIADLは統制変数として投入した。その結果,配偶者のいる男性においては,妻からの受領サポートと主観的幸福感とが負の関連を示し,妻からの受領サポートと妻への提供サポートの交互作用が有意となった。女性の場合,有配偶者では友人からの受領サポートと主観的幸福感とは負の関連,無配偶者では友人への提供サポートと主観的幸福感とは正の関連が示された.地域在住の高齢者においては,サポートを受けるだけよりも,むしろ,サポートを提供することが主観的幸福感を高めることが示唆された。
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論文名 |
デイサービスに対する介護者の希望と満足;利用者の要介護度による差
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著者名 |
松原由美,成行貴久,北村利光,古谷野亘
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
405-410,
2000
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抄録 |
デイサービス利用者の介護者を対象として意識調査を行い,要介護度の高い高齢者の介護者がデイサービスに対してもつ希望と満足度について検討した。調査は東京都板橋区におけるデイサービス利用者全員の主介護者を対象として実施され,回答を得た393人の介護者を分析の対象とした。デイサービス利用者の多くは比較的健康であったが,日常生活自立度の低い利用者の介護者は,自立度の高い利用者の介護者に比べて,サービスの利用に際して,家事と休養の時間を得ることを重視し,多くの利用回数を望み,また現行よりも遅い終了を希望していた。介護者の多くは現在のデイサービスに満足していたが,自立度の低い利用者の介護者では利用回数についての満足度が低かった。これらの結果は,デイサービスに対する介護者の期待に高齢者の要介護度による差があり,現在のサービスが,要介護度の高い高齢者のニーズには十分に応えていないことを示唆している。
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論文名 |
わが国における痴呆性老人の住環境に関する研究動向と課題
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著者名 |
赤木徹也,足立啓,舟橋國男
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
411-424,
2000
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抄録 |
わが国の痴呆性老人に関する住環境研究を体系化しその方向性を模索するために,関連文献(338編)を対象として,その研究動向と今後の課題を検討した結果,以下のことが明らかとなった。 1)痴呆性老人の住環境に関する研究は,1980年代後半まで研究数が少なく,学術論文としての研究蓄積が整っていない状況であったが,以降,多様な展開を示しながら毎年10〜40編程度の研究が随時発表され,さらに学術論文においても研究蓄積が整いつつある状況である。2)現在,非常に研究蓄積が少ない住宅・都市環境系研究は,今後,重要な課題となる。3)痴呆性老人のQOLと密接に関係する空間認知研究の重要性が示唆される。4)痴呆性老人の多様な特性を捉えるための痴呆種類別・痴呆程度別などの属性別分析を加えた研究成果が期待される。5)QOLを向上させるために,痴呆性老人の残存能力の維持・向上を目的とする住環境研究が望まれている。痴呆性老人の知覚能力や環境要素(光・熱・音)との関係に着目した住環境研究も,今後,重要な課題になると考えられる。
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論文名 |
特別養護老人ホームにおける医療サービスの評価の試み
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著者名 |
岡村裕,野山修
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
425-435,
2000
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抄録 |
特別養護老人ホームにおける医療サービスの適切さについて第三者の評価により明らかにすることを,1つの施設を対象に試みた。182日の観察期間において,対象者87人中81人に疾病関連の症状・徴候が1,995件発生し,4,635件の対処活動が行われた。対象施設と無関係の第三者の立場にある1人の医師の評価によると,13人の対処活動に1件ずつ不十分な点があった。13件中11件は診断を確実にするための検査受診の不足で,2件はケア指示の不足だった。ただし,不十分な対処活動の指摘群と非指摘群におけるADL低下,入院,死亡の発生割合に有意な差は認められなかった。今回の評価では,特別養護老人ホームにおける医療サービスのあるべき姿が明示されておらず,1人の専門家の判断に基づき評価が行われたため,評価結果の妥当性と信頼性については疑問が残った。しかし,系統的に整理された医療サービスの記録を第三者が評価したことによって,特別養護老人ホームでは検査受診等が制限される可能性があることと,医療サービスがある程度制限されたなかでも高度に組織化された質の高いケアが実現できる可能性が示唆された。
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論文名 |
高齢帰還移動の過程とその影響に関する検討;沖縄県N部落の事例
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著者名 |
田原裕子,永田淳嗣,荒井良雄
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
22
(
3
)
:
436-448,
2000
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抄録 |
沖縄県大宜味村N部落を事例地域として,1994年9月と1998年7月の2回にわたって住民の異動,帰還移動者の意思決定過程,帰還後の適応の状況などについて現地調査を行い,そのデータを定量的・定性的に分析した。 その結果,対象とした高齢帰還移動者については,経済的にゆとりのない人がかなり含まれること,単独での移動が多いこと,帰還後,地域参加に積極的である人が多いことがわかった。また,事例地域の場合,高齢帰還移動が地域人口・世帯数の増加,字費収入の増加,地域組織への参加などをもたらしたことが判明した。今後,高齢帰還移動が移動者本人と地域社会に与える影響を明らかにするためには,移動によって生じる生活コストやコンボイの構成の変化,移動者が地域で形成したサポートの授受関係や地域参加の状況,高齢帰還移動がきっかけとなって発生した移動などに注目することが重要であると考えられた。
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