論文名 |
老いと宗教
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著者名 |
奈倉道隆
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
21
(
3
)
:
311-316,
1999
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抄録 |
老いを生きぬくうえで,宗教がどのような役割を果たすかについて論ずる。科学が事実を実証的に追究するのに対し,宗教は自分が生きるうえでの根源的な価値や意味を深める働きをする。高齢者は生涯発達を続け,生きる意味を追究する意欲をもつ。と同時に喪失体験も多くなるので価値観の転換に迫られる。また,現代社会は共同体意識が低下し,自立・共生社会の構築が必要となるが,新しい理念による人と人との結びつきを必要としている。そして長寿社会では,死を見つめつつも生を喜んで生きぬく時期を迎えなければならない。こうした状況のなかで宗教が果たしうる役割はなにか,具体的に述べる。
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論文名 |
痴呆性老人と知的障害者の交差点画像に対する視覚情報探索行動に関する研究
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著者名 |
足立啓,荒木兵一郎,赤木徹也,知花弘吉,日下正基,奥俊信
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
21
(
3
)
:
317-328,
1999
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抄録 |
痴呆性老人や知的障害者は健常者に比べ交差点で経路選択をする際,多くの視覚情報を的確に収集することに困難が予想される。本研究では,視覚情報量が異なる実際の交差点を3か所選定し,8ミリカメラによる動画像を痴呆性老人と知的障害者に提示して,画像上での注視傾向を健常者との比較で分析した.結果として,
(1) 痴呆性老人は刻々と変化する動画像に対して迅速に情報収集を行えないこと,
(2) 痴呆性老人や知的障害者は車や人などの移動性のある視覚情報に対して比較的注視するが,背景などの静止対象には一部しか注視しないこと,
(3) 信号や車の方向指示器などの点滅情報に対しては,3属性ともに注視が増大すること,
(4) 健常者や知的障害者は画像上全般に探索的な注視を行う傾向があるのに対して,痴呆性老人は画面中央部へ注視が偏り,画面端部の情報を見落とす傾向があることなどが明らかになった。
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論文名 |
高齢者の社会関係の構造と量
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著者名 |
浅川達人,古谷野亘,安藤孝敏,児玉好信
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
21
(
3
)
:
329-338,
1999
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抄録 |
高齢者の社会関係の構造を明らかにし,それに基づいて社会関係の量を測定・分析することを目的とした。使用したデータは,東京都世田谷区と山形県米沢市の65〜79歳の在宅高齢者の代表サンプル,合計882人より得られた。高齢者と他者との間の一対一の関係を単位とする分析により,高齢者の社会関係を構成する「サポート」と「情緒的一体感」という2つの次元が抽出され,「情緒的一体感」がより基礎的な次元であると考えられた。この2つの次元を組み合わせることによって,高齢者の社会関係における他者の相対的な位置を明瞭に示すことができた。次に,高齢者個人を単位として,2つの次元の社会関係の豊かさの指標を作成し,分析したところ,情緒的一体感を感じる他者の数は平均約6人で,配偶者の有無による差のみが認められた。他方,サポートの授受のある他者の数は平均約2.5人で,調査地域や性,配偶者の有無の有意な影響が認められた。高齢者の社会関係の全体を把握するためには,「一緒にいてほっとする人」と「ちょっとした用事をしてくれた人」について直接人数を尋ねる方法が,簡便かつ有効な方法として試みるに値するものと思われる。
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論文名 |
5年間における改訂PGCモラールスケール得点の安定性
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著者名 |
石原治,下仲順子,中里克治,河合千恵子,権藤恭之
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
21
(
3
)
:
339-345,
1999
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抄録 |
主観的幸福感を測定する改訂PGCモラールスケール(PGC)の総得点の経年変化について検討した。対象者は,5年間すべての年において有効な回答が得られた50〜74歳(1991年時点)の中高年者1,785人であった。 結果は以下のとおりであった。 (1) PGC総得点について年ごとに信頼性係数を算出した結果,すべての年において高い値が得られた。 (2) PGC総得点を従属変数とし,性,年齢,調査年時を要因とする分散分析を行った。その結果,性と調査年時の有意な主効果が得られた。調査年時について多重比較を行った結果,1991年の得点のみが有意に低く,1993年から1996年の間では得点に差が認められなかった。 以上,調査年時に主効果が得られたが,経年変化を示す積極的な結果はみいだせず,PGC得点が安定していることが示唆された。
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論文名 |
あいりん地域における高齢日雇労働者の日常生活に関する研究
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著者名 |
竹嶋祥夫
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
21
(
3
)
:
346-357,
1999
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抄録 |
本研究は,日雇労働者が居住する地域として有名な,大阪市西成区あいりん地域を対象に,日雇労働者の日常生活の実態を調査分析したものである。調査対象は,同地域の路上,公園,あいりん総合センターなどで屯したり,一時保護施設に入所する労働者で,調査票を基にした聞き取り調査を行った。調査は本人の日常生活,生活史,生活設計に関係し,労働,健康,社会福祉,医療等生活全般にわたる内容であるが,本論では,当該地域で一般的な簡易宿所・飯場を中心に居住する者および最も問題が多いと考えられる野宿を中心とする者を分析対象者とし,1か月間の宿泊場所の実態を基にした類型を中心的指標に,労働者の職種,1か月間の仕事日数や収入,健康状態などの個人情報や,日雇労働者の観察から日常生活の主要な側面を示すであろうと考えられる行動実態(普段の居場所,食事,入浴・洗濯,日常の楽しみ等)を,年齢階層を考慮してまとめたものである。 主たる結果の概要は以下のとおり。 (1) 宿所によって,居住者の年齢構成,職種,仕事日数や月収,健康状態が異なる。 (2) いずれの宿所類型でも,有意な差異はみられないものの年齢階層が上がるほど,仕事なしが増加し,仕事日数や月収が低下する傾向がみられる。 (3) 普段の居場所,食事,入浴,洗濯,ギャンブルなど日常生活も宿所によって有意な差異がみられ,簡易宿所・飯場の生活状況がもっとも良く,野宿者がもっとも悪い。 (4) このような日常生活で年齢階層と有意な関連があるものは比較的少ないが,簡易宿所・飯場居住者の昼食や夕食の場所,各宿所でのギャンブル参加は年齢階層と有意な関連がみられ,年齢階層が上がるほど出費を抑えた生活をしている様子がうかがえる。
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論文名 |
アメリカ合衆国の老年学教育
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著者名 |
橋亮,柴田博
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
21
(
3
)
:
358-371,
1999
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抄録 |
本稿では,アメリカ合衆国の老年学大学教育を紹介する。わが国では,老年医学の教育は存在するが学際的な老年学教育はまだ確立していない。政府は今日のヒューマンサービスにかかわる専門家の養成には老年学のもつ学際的研究プログラムが必要であることを強調している。アメリカの老年学大学教育は,1965年のthe Older American Act通過後に始まり,1998年時点,500以上の大学で,1,000以上のプログラムが導入されている。高等教育老年学協会は,老年学を主専攻とする学部課程31,修士課程37,博士課程5を把握している。5つの博士課程のなかの2つにおいては高齢化に関する政策に焦点が当てられており,他の3課程では老化と高齢者問題における学際的研究が重視されている。日本にこれらのモデルを導入するにあたっては,正常老化に焦点を当てた生涯発達的視点をもつ教育が求められている。
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論文名 |
「市町村長同意」によって精神病院に入院した身寄りのない痴呆性高齢者についての検討;入院に至った経緯と転帰を中心に
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著者名 |
楠野泰之
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雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年社会科学,
21
(
3
)
:
372-377,
1999
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抄録 |
東京特別区のある精神病院に1994年5月から1998年12月までに入院した「市町村長同意」の痴呆性高齢者21例の年齢,改訂長谷川式簡易知能評価スケールの総得点,精神症状,身体合併症,および入院に至った経緯,転帰や処遇上の問題について検討した。この結果,対象とした痴呆性高齢者については,臨床的には80歳以上の者,痴呆が重度の者,および重篤な全身疾患や低栄養・脱水状態を合併した者が多いことがわかった。その生活については,入院を契機にほとんどの者が住居を失い,精神症状や身体状況が安定した後も精神病院に入院したまま,長期間老人ホームの入所待ちを続けているケースも少なくないことが判明した。現行の精神保健福祉法や成年後見制度のもとでは,身寄りのない痴呆性高齢者の身体権や財産権は十分に保護されていない。超高齢化社会の到来に備えて,社会福祉制度や関連法規の整備や改正が必要であると考えられた。
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