論文名 | 療養型病床における医療事故とリスクマネジメント |
著者名 | 桑田美代子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(9):925-932,2006 |
抄録 | 青梅慶友病院は745床を有する療養型病床で「終の棲家」の役割も担っている.1985年より拘束を全面撤廃したが,1994年には骨折事故が76件発生した.骨折事故予防を行うためデータに基づき,試行錯誤を繰り返しながらさまざまなシステム変更を行い,2005年の骨折事故は31件であった.2006年に転倒・転落時クリニカルパスを作成した.療養型病床における事故対策を行う場合,個々の職員の注意を喚起するだけでは無効で,職員の日常の仕事のシステム見直し,個々の高齢者の特徴把握と対応,患者,職員を含む病棟全体の特徴把握と対応,職員教育,エビデンスに基づいた家族への説明が必要であり,それらを実践するためにはチームの連携と,日頃からの家族とのコミュニケーションが重要である. |
キーワード | 療養型病床,骨折予防,職員教育,システム,クリニカルパス |
論文名 | 高齢者介護施設における利用者とのトラブルとリスクマネジメント |
著者名 | 橋本正明 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(9):933-938,2006 |
抄録 | 介護保険が導入され,介護サービスは契約によって利用されることになった.このシステムは社会福祉サービスとしての介護施設ケアに新しい局面を惹起させることになった.それはソーシャルワークとして生活の包括的な援助と,とくに身体介護に特化した介護保険のサービスの関係の整理といえる.重介護者の介護が中心的な業務となる介護施設において,24時間の介護はその人らしい積極的な生活づくりの援助と,一方どのようにして安全管理を確立するかという問いかけだといえる. |
キーワード | エンパワメント,ハインリッヒの法則,インシデントレポート,介護サービス苦情処理委員会,納得 |
論文名 | 訪問看護における医療事故とリスクマネジメント |
著者名 | 上野桂子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(9):939-945,2006 |
抄録 | 訪問看護サービスは,病院等の施設内と異なり医療環境の未整備な在宅の場で医療系サービスを看護師一人で提供している.ケア提供に際し事故を未然に防ぐための取組みは全国の訪問看護ステーションの命題でもある.そのためには,優れた技術とアセスメント能力は必須である.全国訪問看護事業協会が3回にわたり実施した事故対応指針・マニュアル・事例作成等の研究結果を用いながら,訪問看護ステーションにおけるリスクマネジメントについて述べる. |
キーワード | 訪問看護,在宅療養者,一人でケア提供,アセスメント,事故予防 |
論文名 | 在宅高齢者医療における医療事故とリスクマネジメント |
著者名 | 西村敏樹 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(9):946-950,2006 |
抄録 | 在宅医療は,住み慣れた生活の場にあって医療を受けたいという患者のニーズと医療費の抑制という国家財政上の必要から,今後ますます役割は重要となってくる.在宅高齢者医療におけるリスクマネジメントについての,現状と今後の課題について,かかりつけ医の役割,多職種協働,患者・家族と治療文化,事故発生時の対応の4つの観点から述べた. |
キーワード | かかりつけ医,多職種協働,患者の主体性,治療文化,医事紛争 |
論文名 | 高齢者の転倒・骨折とリスクマネジメント |
著者名 | 須貝佑一,小林奈美,杉山智子,松井典子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(9):951-958,2006 |
抄録 | 高齢者の転倒・骨折のハイリスク群は80歳以上の要介護の高齢者である.これに認知症が加わるとさらにリスクは高まる.有効な転倒事故対策につなげるためには転倒事故のリスクをあらかじめ予測し,適切な対策を講じていくことが望まれる.そのためにはハイリスク群に目標を絞ったリスクマネジメントが必要である.転倒事故に関する先行研究の成果を参照しながら多数のケア施設での横断調査から抽出したリスクファクターをもとに転倒評価尺度を試作した.要介護の高齢者の転倒を客観的に予測する方法として有効である. |
キーワード | 高齢者,認知症,転倒事故,骨折,リスクファクター |
論文名 | 高齢者福祉施設における内科疾患のリスクマネジメント |
著者名 | 新谷冨士雄 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(9):959-965,2006 |
抄録 | "(1)高齢者が自然に「そっと息を引き取る」ことは,まずない.あるのは終焉との「戦い」のみ.(2)高齢者医療では,Evidence-Based-Medicineで片づけられる内容が少ない.そもそも「はてな寿命」に達した方々のevidenceは著しく欠落している.(3)ある対処法の適応決定順は「本人・家族・職員」の順.こちらから,むやみに物事を進めてはならない.(4)Informed Consentおよび「見守り」ほど頼りがいがあるものはない.(5)人(生物)は必ず死ぬ.その可能性に近い高齢者はなおさらである.1つの危機を乗り越えれば,次の危機が待っている.見渡すかぎり,危機の峠だらけである. " |
キーワード | 寿命の分類,高齢者の内部環境,BMI,内科の安全管理 |