論文名 | 高齢者せん妄の特徴と診断 |
著者名 | 一瀬邦弘,中村 満,竹澤健司,清水輝彦,石川洋世,中島さやか,梶奈美子,臼井千恵,福島理英,斉藤尚大 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(6):595-604,2006 |
抄録 | 加齢により,せん妄発症頻度が増す.せん妄は症候群であるとともに多要因で,その発症は層構造をなす.まず救急場面での注意点をあげた.せん妄診断は2段階である.まずせん妄と確定診断するためには,軽い意識障害の存在を察知する.次に行うべき原因診断では,生命的危険度の高いものから順に,次いで治療による回復可能性の高いものから順に優先順位をつけ,段階的に検証を進めるべきである.また診断の際,前駆症状について,注目すべきであることを述べた. |
キーワード | delirium,acute confusional state,predisposing factors,facilitating factors,precipitating factors |
論文名 | 高齢者せん妄にかかわる身体疾患と検査 |
著者名 | 八田耕太郎 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(6):605-609,2006 |
抄録 | 高齢者のせん妄は,準備因子や誘発因子の関与が大きい分,若年者に比べて起因する明瞭な身体疾患が見つかる頻度は低い.しかし,だからといって鑑別作業において省略できるものはない.本稿では,せん妄を惹起する身体疾患とせん妄に起因する生理学的異常,それらを鑑別するための検査と検査実施のための鎮静処置,および縦断的観察といった点について論述した. |
キーワード | 頭蓋内病変,全身疾患,生理学的異常,鎮静処置,縦断的観察 |
論文名 | 高齢者せん妄を誘発する物質と薬物 |
著者名 | 柴田敬祐,北林百合之介,成本 迅,福居顯二 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(6):610-615,2006 |
抄録 | せん妄は高齢者の精神疾患のなかでも最も頻度の高い病態のひとつである.せん妄のおもな病因のひとつに薬物による誘発があげられるが,薬物によるせん妄は早期に診断し適切な治療を行えば,比較的短期間での軽快が望めることが知られており,的確な診断および治療がきわめて重要である.本稿では,せん妄の病因としての薬物の位置づけやその疫学,また代表的な原因薬物におけるせん妄出現の病態や治療について概説した. |
キーワード | せん妄,抗パーキンソン病薬,抗コリン薬,H2ブロッカー,抗不安・鎮静睡眠薬 |
論文名 | 高齢者せん妄を伴う認知症 |
著者名 | 金子 稔,天野直二 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(6):616-623,2006 |
抄録 | せん妄は一般に高齢者においてみられやすく,認知症においても特異的な症状ではない.それぞれの認知症に症状や発症時期,検査所見,経過の特徴があるように,せん妄の発現も疾患ごとにある程度の傾向がみられる.高齢者せん妄をみた場合に,せん妄や各疾患それぞれの特徴を踏まえ,症状や所見を把握し鑑別診断を行うことが,的確な治療や対応につながる. |
キーワード | 高齢者,せん妄,認知症,分類,鑑別診断 |
論文名 | せん妄のアセスメント |
著者名 | 加田博秀 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(6):624-637,2006 |
抄録 | せん妄の評価尺度には,スクリーニングのための評価尺度,せん妄の診断をつけるための評価尺度およびせん妄の重症度を評価する尺度とそれぞれの目的に合わせた尺度が近年多数開発されてきている.そのうち代表的で今後広く使われていくと思われるせん妄スクリーニング・ツール,ニーチャム混乱・錯乱状態スケールおよびDelirium Rating Scale-Revised-98(DRS-R-98)を紹介し,使用法について検討した. |
キーワード | せん妄,アセスメント,せん妄スクリーニング・ツール(DST),ニーチャム混乱・錯乱状態スケール(NCS),Delirium Rating Scale-Revised-98(DRS-R-98) |
論文名 | 高齢のせん妄患者に対する薬物療法 |
著者名 | 堀 広子,中村 純 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(6):638-643,2006 |
抄録 | 高齢のせん妄患者に対する薬物療法について,四環系抗うつ薬のミアンセリンと第2世代抗精神病薬に関する最近の知見を整理した.ミアンセリンおよびリスペリドン,オランザピン,クエチアピン,ペロスピロンなどの第2世代抗精神病薬のせん妄に対する有効性は,複数のオープン試験の結果で示されている.とくにリスペリドンとオランザピンではハロペリドールとの無作為比較試験も報告されており,効果はハロペリドールと同等であり,副作用はハロペリドールに比べて錐体外路症状の発現が少ないことが報告されている.しかし無作為試験の報告数は少なく,今後,有効性と安全性について検討を進める必要があると思われる. |
キーワード | せん妄,高齢者,ミアンセリン,第2世代抗精神病薬 |
論文名 | 高齢者せん妄における環境調整と事故防止 |
著者名 | 稲葉央子,石丸雄二,田村義之,千葉 茂 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(6):644-652,2006 |
抄録 | 本稿では,高齢者せん妄の予防あるいは早期診断・早期治療の観点から,せん妄発症要因を概観し,非薬物療法としての環境調整,および事故防止の具体的方法について述べる.せん妄発症要因のうち,促進因子である環境変化,心理的負荷,感覚遮断状況,睡眠障害に対応することが発症予防あるいは早期治療に直結する.家族やスタッフに対する治療教育も重要である.また,せん妄の早期診断には睡眠覚醒リズムの把握が有用と考えられる. |
キーワード | 高齢者,せん妄,環境調整,睡眠覚醒リズム,治療教育,転倒 |