論文名 | 認知症を地域で支えるために ― かかりつけ医の認知症診断技術向上に関するモデル事業より ― |
著者名 | 本間 昭,粟田主一,池田 学,植木昭紀,浦上克哉,北村 伸,繁田雅弘,中村 祐,中村光夫,太田規世司 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(5):483-489,2006 |
抄録 | かかりつけ医の認知症診断技術の向上を目的としたプログラムを作成し,20地域医師会の協力を得て研修を実施した.プログラムは,知識編,診断編1,診断編2および治療とケア編の4部から構成され,1回およそ1.5時間の内容を4回シリーズで実施した.実施前後で認知症に関する診療実態および診療実績について郵送法でおよそ6か月間の間隔をおいて調査した.結果では認知症に関する知識・理解,診療実績等で一定の成果が得られ,プログラムの有用性が示されたが,地域のケアスタッフとの連携に関してはさらなる啓発あるいはプログラムの工夫が必要である可能性が示唆された. |
キーワード | 認知症,地域連携,早期発見,かかりつけ医,成年後見制度 |
論文名 | 認知症を地域で支える宮城県栗原市の実践 |
著者名 | 粟田主一,島袋 仁,小泉弥生,進藤克博,鬼沢民雄 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(5):490-495,2006 |
抄録 | 医療資源の乏しい過疎高齢地域における地域ケアシステムづくりの歴史を振り返り,その基本的考え方について私見を述べた.基本は,保健医療福祉専門職と住民が,認知症に関心をもち,認知症を知るための仕組みをつくることであり,その骨組みには,地域包括支援センター,かかりつけ医,専門医,行政を含むネットワークが必要である.大都市におけるシステムづくり,救急と身体合併症医療は,今後に残された重要課題である. |
キーワード | 認知症,地域ケアシステム,かかりつけ医,専門医,地域包括支援センター |
論文名 | 認知症を地域で支える地域医師会の役割 |
著者名 | 金子博純 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(5):496-502,2006 |
抄録 | 盛岡市医師会は,認知症対策に具体的に取り組むため,平成14年度にかかりつけ医による「もの忘れ検診」を独自に開始した.平成15年度からは盛岡市の検診事業として承認された.さらに検診や日常の診察で発見された認知症患者を地域で支援する受け皿づくりを行政に求めて続けた結果,平成17年4月には,盛岡市の新規事業として「認知症にやさしい地域づくりネットワーク形成事業」が制定されるに至った. |
キーワード | もの忘れ検診,もの忘れ相談医,地域の受け皿,地区福祉推進会,認知症にやさしい地域づくりネットワーク形成事業 |
論文名 | 認知症を地域で支える大学病院の役割 |
著者名 | 福原竜治,鉾石和彦,蓮井康弘,池田 学 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(5):503-509,2006 |
抄録 | 認知症に対する地域連携という観点から,大学病院の役割についてわれわれの取組みを紹介した.愛媛大学医学部附属病院精神科神経科では高次脳機能外来と認知症検査入院を実施しており,県内各地より来院した患者は,心理検査や画像検査を含め包括的に評価された後,再び地域の医師や保健福祉関係機関のもとで診療を継続していくシステムとなっている.これは高度医療を担う大学病院が地域医療に貢献する1つのモデルと考える. |
キーワード | 大学病院,認知症,認知症外来,検査入院,地域連携 |
論文名 | 認知症を地域で支える行動障害への対応 |
著者名 | 木之下徹,本間 昭 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(5):510-516,2006 |
抄録 | われわれのクリニックは都内でおもにBPSDの著しい方々を対象に訪問診療を行っている.本稿ではまず在宅医療の特徴について述べる.次いでわれわれが直面した在宅医療における問題点と限界点を言及した.今日的状況では地域におけるBPSDの対応については前提となる医療提供のあり方にも不足な点があり,それに呼応する介護,福祉のあり方も充足しているとはいえない.これらの問題を踏まえ今後の方策について考察した. |
キーワード | BPSD,在宅医療,地域医療,薬物療法 |
論文名 | "認知症を地域で支える; 認知症の人の立場に立った連携を実現するために" |
著者名 | 池田恵利子 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(5):517-522,2006 |
抄録 | 消費者被害に遭う認知症高齢者が増加し,高齢者虐待も認識されるようになってきた.高齢者の尊厳ある生活の維持のためには,超高齢少子化社会において家族からの支援のみを期待していられない.認知症高齢者自身の立場・権利を擁護・代弁する必要性が明確に意識され,生活や人生におけるその人らしい選択が大切にされ,資産利用に関しても,本人の「最善の利益」が護られるための方策をとることが重要である.本人が事前に任意後見を利用することも必要であるが,地域連携の基盤構築に寄与する地域包括支援センター等による成年後見制度利用促進にも期待したい. |
キーワード | 権利擁護,消費者被害,高齢者虐待,成年後見制度,地域包括支援センター,ネットワーク |
論文名 | 認知症を地域で支える専門家グループの役割 |
著者名 | 今井幸充 |
雑誌名 巻/号/頁/年 |
老年精神医学雑誌,17(5):523-529,2006 |
抄録 | 平成18年度の介護保険改定では,地域における新しいサービスの確立を目指し,地域医療と福祉の連携強化をはじめ,さまざまな施策の展開を提示しているが,そのひとつとして認知症対策の推進に関する事業がある.この事業を円滑に進めるためには,地域の専門職の役割は大きく,とりわけかかりつけ医が大きくクローズアップされている.また認知症を地域で支えるためには,介護職のなかで認知症ケアの専門家の存在も欠かせない.日本認知症ケア学会では,認知症ケア専門士制度を創設して,その育成に努め,これら専門士が認知症の医療・保健・福祉の連携に欠かせない存在となることが将来期待される.本稿では,平成18年度に実施する認知症対策支援事業の具体的な内容を紹介し,そこでの認知症にかかわる専門家グループの役割について論じ,それらの連携のあり方についても論じる. |
キーワード | 認知症対策支援事業,専門資格制度,かかりつけ医,認知症ケア専門士,連携 |