第20回日本老年精神医学会大会プログラム

 6月15日(水)〜17日(金) ポスター展示ホール

合同ポスター発表

(6学会合同)

 

栄養・長寿等の演題

座長:宮坂 京子(東京都老人総合研究所)
    石田 鉄光(日本歯科大学)

脳機能と食事の関連性

宮永和夫1),米村公江2),荒井節子3),関  和江3)

1) 群馬県こころの健康センター,2) 群馬大学医学部,3) 南魚沼市農村検診センター

PB-07

【目的】痴呆が予防・治療ができるかを,食物に含まれる栄養の面及び,その摂取状態を反映していると思われる血液,尿,心理の検査を行い検討した.

【方法】60歳以上の住民よりボランティア(男性59名,女性174名)を募り,これを対象者として,栄養調査,心理検査,血液検査,尿検査を実施し,栄養摂取及び知的機能の変化の有無を検討した.

【倫理的配慮】調査の内容については,口頭及び文書で説明し,書面にて本人の同意を得た.

【結果】1.2年間の心理検査(MMSおよびHDS-R)の変化をみると,男性では,改善19名,不変29名,悪化11名,女性では,改善39名,不変109名,悪化26名だった.
2.男女別で心理検査の変化と各種の項目との相関を見ると,女性で有意差を見たのは,血中ビタミンC(VC)濃度と尿中8OHdg生成速度(ともに正の相関,以下正と略),男性では,尿中8OHdg生成速度(正)とアラキドン酸(負の相関)だった.

【考察】VCと8OHdg生成速度はともにストレスなどに関連する物質のため,記憶障害の機序にストレス作用が関連するのではないかと考えられた.

 

ABCプロテインと日本人における
アルツハイマー病の遺伝関係

大久保拓,柴田展人,新井平伊

順天堂大学精神医学教室

PB-08

【目的】ADのリスクファクターとしてアポEの遺伝子異常が指摘されているように,脂質はアルツハイマー病の病理に深い係わり合いがあると考えられる.疫学調査などから,高脂血症群が非高脂血症群に比し罹患率が高値であることに注目されており,脂質との関連性を追及することがADの病態解明に重要であると考えられる.腸管からの脂質の吸収の調節を行っている,ABCG5C1950Gは脂質関連蛋白であり,遺伝子多型を検索し,ADの病態における本遺伝子多型の関与を追求する.

【方法】PCR-RFLP法にて遺伝子多型を決定した.225人のAD患者と125人のコントロールにおいて,ABCG5C1950Gの遺伝子多型を調査した.また87人のAD患者において遺伝子多型とコレステロール値(T-cho,HDL,LDL)を調査した.

【倫理的配慮】本研究の主旨,目的及び臨床面での重要性について口頭と文書にて十分に説明し,文面にて同意を得た.また,順天堂大学医学部倫理委員会の承諾を得て,当研究を行った.

【結果】ABCG5C1950Gの遺伝子多型においてAD患者とコントロールの間に有意差を認めなかった.AまたAD患者のコレステロール値においても,遺伝子多型間に有意差を認めなかった.

【考察】欧米人において,ABCG5C1950Gの遺伝子多型はコレステロール値に有意差を認めており,他の人種においても調査を行ってみることが必要と考えられる.