学術集会長あいさつ

第20回日本赤十字看護学会学術集会の開催にあたって
 
 新緑が5月の陽に映えてひときわ美しい今日この頃です.それぞれの領域で新年度を迎えられたみなさま,お忙しくご活躍のことと存じます.

 

 さて,先にご案内しました第20回日本赤十字看護学会学術集会の開催も,いよいよ,ひと月後に迫りました.演題登録も済ませた会員のみなさまは,発表に向けての精練をいっそう進めていらっしゃることでしょう.それぞれのセッションの企画・進行も着々と進んでおります.
 
 特別講演の徳永先生のテーマは「ケアの地下水」に決まりました.想像力をかきたてるテーマですね.続く谷川俊太郎先生との対談に関して,先生は,「俊太郎さんの世界(ケアに通じる,ヘンダーソンに通じる)をたくさん展げられたら面白いですね」とお便りを下さいました.そう言えば,「臨床という海」(看護の科学社-1996)で,先生は,「看護の基本となるもの」について,「『Help the patient with…』」で始まり,『Help the patient with…』で統一され,「病人の現場に身をおき続けた人にしかできないシンプルで優しく,かつ深い看護の思想が詩のようにして連なり…」「14項目の世界は,たとえば失った人,閉ざされた人,隔てられた人にとっては,とても大切なキラキラと輝く宝物のように見えるのだろう」と書きました.この章は,前科9犯で脱水症で入院した患者さんのエピソードから始まっていて,14項目が充たされていない点に関して,「日々の臨床の場が,閉ざされたり隔てられたりすると,刑務所的になる.いや,気をつけないと…」と鋭く指摘されています.
 
 もう1つの特別講演カールベッカー先生の「尊厳ある生を支援する-SOC,ACP,EOL」のお話も,まさに医療・看護を超えて社会的に関心の高い今日的テーマです.人生の終末を,自分らしく尊厳を持って迎えたいのは,誰でも共通の願いですが,そのためには,生を如何に生きるかにかかり,それを支援し,個々の意思決定を図る方法などに関して,長年の死生学のご研究を通してお話下さることと思います.
 この他,教育講演もシンポジウムも魅力的で,主催者側もわくわくしております.
 
 本学会は,20年前に臨床と教育・研究のコラボを掲げて発足しました.それ故に,臨床,教育における,理念と実践,たてまえと本音の乖離,職場の人間関係など,是非今の,現場の空気をこの学会に注ぎ込んで頂きたいと思います.疑問や悩みは研究疑問に発展する可能性を秘めています.多彩な交流セッションの何れかは,きっとあなたのニーズに添った内容があるはず.積極的に参加して活発に発言して下さいませ.
 私の会長講演は,伝統を革新する上で,何が求められているかを提起したいと思っておりますが,実は,未だ構想を練っている段階です.1日目の広尾ホールのオープニングに響く女性合唱団コールシャマイクルによる「創作曲:おはよう 私は看護師」の澄み切った歌声に思いを馳せながら,その日の朝まで,きっと悩み続けることでしょう.
 
 本学会は,看護という共通言語のもとで働き,究め,学ぶ方たちに開かれた学会でもあります.赤十字内外,会員の有無に関わらず,どうぞお誘い合ってご参加下さいませ.心からお待ち申し上げます.
 
 


 

 

日 時 2019年6月15日(土)~ 16日(日)
会 場 日本赤十字看護大学(〒150-0012 東京都渋谷区広尾4-1-3)
学術集会長 川嶋みどり(日本赤十字看護大学 名誉教授)
テーマ 赤十字看護の伝統を革新する独創性と実践力
 
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