学術集会長あいさつ

第20回日本赤十字看護学会学術集会の開催にあたって
 
 この夏は,豪雨,列島縦断の台風,そして大地震等で,各地に甚大な被害をもたらしました.犠牲となられた方々のご冥福を祈り,被災された皆様に心からお見舞い申し上げます.
 広島で開催予定の第19回日本赤十字看護学会学術集会も,その豪雨の真っ只中でやむなく中止となり,講演集の発行をもって開催と見なすとのご案内を頂きました.流動する周辺状況を考慮され決断されるまでの小山学術集会長はじめ企画委員各位のご苦労に対して深甚の敬意を申し上げます.
 
 さて,第20回学術集会のご案内です.2019年6月15日(土),16日(日)の両日にわたって,「赤十字看護の伝統を革新する独創性と実践力」をテーマに,日本赤十字看護大学(東京・広尾)を会場に開催する運びとなりました.
 赤十字看護のありようも,社会情勢や時代の変化に伴って,戦傷病者の看護から災害看護,国際救護活動などへと拡がり,さまざまに様相を変えて今日に至っております.かつては,赤十字と言えば看護,看護と言えば赤十字とのイメージが人びとのあいだに定着していました.全国各地の赤十字病院の看護は,その地域におけるモデルとして位置づき,それぞれの場での看護水準をリードする存在でありました.それらは,戦前,戦中の自己犠牲を伴った先輩諸姉の献身的な実践に対する社会的評価の延長であった面もあります.
 近年,人間の想像力の域を超えた科学・技術の進歩は,人びとの暮らしの態様や価値観にも影響を及ぼしています.あらゆる年代にわたっての健康志向,世界に先駆けた超高齢社会の到来,大規模自然災害の多発などにより,旧来の医療の概念の転換が求められるようになりました.施設背景の如何を問わず,何れも患者中心の医療を目ざしてさまざまな対応が進められています.一方,機械化と効率性優先により,日本の風土と文化によって培われた看護の根本が揺らぎ兼ねない現実もあります.また,診療報酬体系のもとでのさまざまな制約等もあり,赤十字独自の理念を表出する看護実践を阻む要因も少なくありません.
 

 そこで,看護本来の立ち位置から,改めて赤十字における諸先輩らの優れた看護実践を想起し,その底に流れる看護の心とわざを継承発展させることが,現代社会における人々の多彩なニーズに応える道であることを共有したいと願います.求められるのは,旧態依然の流れや考え方に身を委ねず,自由な発想のもとに,未来を切り拓く気概と実践力です.
 同時に施設内にとどまらない看護の発展のためには,目を高く挙げ裾野を広くすることの重要性は論を待ちません.そのためにも,特別講演,教育講演等の講師には,今を生きる私たちにとって決して忘れてはならない人間としての原点に立ち返るようなお話が頂けると存じます.詳細は,プログラムをご覧下さい.
 
 第20回学術集会では,赤十字の伝統を正しく受け継ぎ,さらにこれを革新するために,個々の看護師らの独創性と実践力を育て精練することを目ざして,実践,研究,教育の過程と成果を発表し交流する場を提供したいと考えております.どうぞ,お誘い合わせの上,多くのみなさまのご参加をお待ち申し上げます.
 


 

 

日 時 2019年6月15日(土)~ 16日(日)
会 場 日本赤十字看護大学(〒150-0012 東京都渋谷区広尾4-1-3)
学術集会長 川嶋みどり(日本赤十字看護大学 名誉教授)
テーマ 赤十字看護の伝統を革新する独創性と実践力
Copyright 2018-2019 日本赤十字看護学会  掲載内容の無断転載を禁じます