認知症ケア事例ジャーナル Netカンファレンス
 
 こちらは認知症に関するテーマを基に,地域・年代・職種に関係なくおのおのの意見を述べていただく場です. 1つのテーマを基にさまざまな視点,立場からの意見および取り組みを知ることを目的としています. 日本認知症ケア学会会員,認知症ケア専門士にかかわらずお気軽にご意見をお寄せください.

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今月のテーマ

私は高校卒業後に2年間,会社員として働いていましたが,祖母の入院をきっかけに介護の仕事に興味をもつようになりました.介護の仕事をしている高校時代の先輩に相談し,「仕事はたいへんだけど,あなたには向いていると思うのでがんばって」と言われ,介護福祉施設に入職しました.
入職した当初は,リーダーや先輩が業務の流れや認知症の入所者とのかかわりに関するオリエンテーションを行ってくれました.介護の経験がまったくない私でしたが,このオリエンテーションと毎日の勉強で,仕事にやりがいと充実感をもつことができました.
しかし,入職から約2か月たったある入浴の日以来,職場に出るのをつらく感じています.軽度の認知症であるAさんが,浴室の前で私に「昨日お風呂に入ったから,今日はやめとくよ,ありがとね」と話しかけてきました.私はAさんに,昨日はお風呂に入っていないと説明しました.そしてAさんにどこか変わったことがあるかもしれないと思い,少しAさんと話をしていました.
そのとき,先輩から「なにをしているの!」と怒鳴られました.私は,Aさんがお風呂に入りたくないと言っていることを伝えました.すると先輩はAさんに「さあ,お風呂に入りましょう」と言いながら,間髪入れずに脱衣所に連れて行きました.
オリエンテーションのときは,「認知症の人の訴えにしっかり耳を傾けて,その人に寄り添いながら,その人らしい生活を整えることが使命」と聞きました.私はそれを指針として未熟者なりにがんばってきましたが,この先輩のAさんへの対応は矛盾していると感じています.
みなさんはこのようなとき,どのように対応しますか? ご意見とアドバイスをお願いします.

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投稿:女性 40代  その他 東京都 その他 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2013/08/02 9:38:42

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編集委員会より
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みなさんお忙しいなか,貴重なご意見をありがとうございました.
ご意見をお寄せくださいましたみなさんやこのホームページをご覧のみなさんの職場にも,4月に多くの新人職員が入職したと思います.新しい職場に希望をもち,日々,認知症ケアを実践していると思います.
みなさんからのご意見のように,相談者は,リーダーやプリセプターに,この日あったことについて,勇気を振り絞って相談する必要があると思います.相談する前に,このときの自分の言動を振り返り,だれと,どのような状況であったか,どのようなことが起きたのか,これからどのように対応していくのか,自分の思いなどを整理しておくとよいでしょう.
就職後2か月のこの時期は,新人職員にとってはたいへん不安定な時期となります.この時期に起こる相談者のような「つまずき」がトラウマになって,離職につながる可能性も考えられると思います.
新人職員は先輩の仕事をみて,真似して育っていくものです.日々の介護のなかで,手本になるよう先輩が身をもって示すことで,新人職員は,自分の未来を重ね合わせます.先輩のみなさん,時間と労力が足りない現場では,展開することは容易ではないと思いますが,ぜひ,役割モデル(ロールモデル)として,新人職員に示してほしいと思います.長谷川和夫先生は,パーソン・センタード・ケアを「その人のbeing(存在していること)を感じて,一緒に歩み,一緒に喜び,一緒に学ぶことである」と述べています.現場の新人教育とも相通じるものがあるのではないでしょうか.
相談者の方は,これからもいろいろな「つまずき」があるかと思います.しかし,あなたの手本となる先輩は,必ずあなたのそばにいます.前向きに進んで行きましょう.


投稿:男性 30代  介護福祉士 沖縄県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/07/09 16:55:20

認知症のケア・・・施設オリエンテーションにおいて認知症状のある利用者さんとの関わりについて学ばれたと思いますが、テーマの内容をみて先輩職員の対応は強引さと感情剥き出し指導が見られますね。
 軽度の認知症の利用者さんの対応について、先輩職員からこの場面においてケースバイケースやうまくケアができた方法等を指導できたらいいなと私は感じました。入浴の案内に対し、昨日に入浴されたとの返答があったことは事実として受け止め、認知症状の中に見当識障害、記憶障害等認知できないことがあります。そのことを理解した上で昨日入浴された言うのであれば、日時を伝えもう一度入浴してもよいこと(リアリティーオリエンテーション)や他の介護職員入れ替わって案内してみるとか(好きなキーパーソンがいることも!)、それでも入浴を拒む様子があれば生活歴や日内変動、他のことが気になっている(着替えの準備や夜に入浴する習慣等)とか原因を探っていくことだと思います。認知症は認知障害が主であること、認知力を高めるケアの提案(パーソンセンタードケア、ひもときシート、竹内式4大ケア等)もアドバイスできるといいですね。


投稿:女性 50代  介護支援専門員 新潟県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/06/27 20:38:48

私自身もここにコメントを書かれる皆さんも「良いケアとは何か」と考え続けていると思います。

「昨日お風呂に入ったから、今日はやめとくよ」という利用者さんの言葉は私自身仕事を継続している上で何度も聞いたことがある言葉でした。お風呂が嫌いな利用者さんが言われる言葉のひとつです。Aさんがいつも口癖のようにこの言葉を言われる方なのか、今日初めて言った言葉なのか状況が良くわかりません。本当に具合が悪く寒気があってやめたいと思ったのかもしれません。事前にこの方の入浴ケアについての情報をどれだけ把握し、変化に気づくということが大切であると思います。

 ケアスタッフにケアの理念が周知するということに組織が力を入れているところもあればそうでないところも施設によっていろいろなのではないでしょうか。また個人個人でもその理解に違いがあるように思います。今、入職して2ヶ月でこういう疑問を持ったというところでこの先も他のケアスタッフの言葉に動じず、ぜひ「良いケアとは何か」現場で追求して実践していってほしいと思いました。



投稿:女性 30代  作業療法士 神奈川県 病院 家族介護経験なし 投稿日: 2013/06/21 23:50:42

指針はとても理想的だと思います。
ただ、理想から現実をマイナスで見てしまうと、たくさん矛盾は出てきます。
業務が多い、人手がない、認知症の方とゆっくり関われない・・・。

社会に出ると、たくさんの矛盾だらけです。
自分にとって理想的な仕事や職場は、介護職に関わらず、
初めから用意されているわけではありません。
自らが作っていくものではないでしょうか。

なぜ、先輩はそう行動したのか、そうせざるを得ないのか。
自分の行動は職場に取ってプラスだったのか。
患者さんにとってはどうだったのか。(昨日入っていないと否定されてしまった方の気持ちはどうでしょう)
怒鳴られた事は自分にとってどうだったのか。自己憐憫に陥ってないか。

理想にこだわらず色々な視点で考える事が
認知症の方と長く関わる上で役に立つと思います。


投稿:男性 30代  介護支援専門員 東京都 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/06/20 11:13:10

状況が目に浮かぶようで、お気持ちすごくよくわかります。私も特養やデイで同じような経験何度もあります。
この仕事を辞めていく人の本音は、ほとんどそういう職員との人間関係とか、ケアの価値観の違いだと思います。

ケアの現場で「なにをしてるの!」と怒鳴る(怒鳴ったわけではないかもしれませんが、相手にそう感じさせる)やり方は、指導の仕方としては、間違っている・正しくない、と思います。
一生懸命勉強して、いろんなことを経験して、正しいことは正しいという信念を持って、頑張っていれば、素晴らしいケアワーカーになれると思いますよ。

ただ、実際は、いろんな人がいる職場なので、チームとして相手のいいところを認めながら、謙虚に学びながら、うまくつきあっていくことも必要かなと思います。
あなたと近い考えの方もおられると思います。一人では改善できないことも多いです。仲間を作って、一緒に頑張っていくことも大切です。
あと、現場の忙しさが、「なにをしているの!」と怒鳴った先輩を作り上げてしまっている、ということも考えられます。
職場環境全体の問題、ということもあるのです。

ストレスの多い仕事ですが、燃え尽きないように、適度に力を抜いて、ストレス発散して、利用者に優しく接する自分を見失わないでくださいね。
あと、お金はかかりますが、自分の成長のために、いろんな研修に参加することは、モチベーションの維持にもつながるし、とてもいいと思いますよ。


投稿:女性 60歳以上  看護師・保健師 愛知県 グループホーム 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2013/06/20 8:30:19

認知症の方の入浴支援は、簡単な様に見えてなかなか難しいものです。入浴拒否という状態の中にお年寄りの方の色々な思いがあり原因もあります。私たちが入浴するときはどうでしょうか。今入るかどうかを自分で決めることができるでしょう?それが施設になると、予定もあるし時間も制限されているし、人員の問題も制約の中で、気持ちの良い入浴をと思っても、思うようにいかない時も多々あります。あなたは、先輩の方の対応に少し納得がいかなかったようですね。文面だけでは詳しいことはいえませんが、このとき何を大切にしたいかの優先順位もあるかもしれないし、お年寄りの方とスタッフによっては人間関係が影響していることもあるかもしれません。問題が起きたときに一人で解決しようとしないで他のスタッフに相談することで沢山の視点から考えることもできます。また新人のスタッフが一生懸命頑張っている姿をそっと見守りながら、温かく支えてやるのも先輩の大切な仕事です。介護は答えがなかなか出せないことも多いのですが、それだけチームのコニュニケーションが重要になります。あまり決め付けないで、感情的にならないで、焦らないで、ゆっくり仕事に取り組んでいってください。今日の疑問の答えがいつか見つかると思います。


投稿:女性 20代  介護福祉士 北海道 その他 家族介護経験あり(過去) 投稿日: 2013/06/12 0:18:14

一人一人の声に耳を傾ける、言葉で言えない気持ちを探ることはケアをしていくうえでというよりも人と人としてもっとも不可欠なポイントだと思います。
もしも私の場合であれば、昨日お風呂に入っていないと伝えるのではなく「○○さん温かいお風呂が好きだといっていたから沸かしたんですけど」や「いいにおいの入浴剤を持ってきたんです」など違った言い方をしてお風呂に誘ったりしています。一度断られたときは時間をおく、雑談をしてその後誘う、ほかのスタッフに代わってもらい声をかけています。
体調が気にかかるのであれば、その旨を伝えることも大事な業務だと思います。
なぜ間髪をいれずに声をかけてお風呂にいってしまったのか、なぜその方は怒鳴ったのかなどその時の様子をもう一度整理してそれでも不満に思う箇所があれば聞いてみてはどうかと思います。
ひとりひとりの生活を支援していくために、と考えてもさまざまな意見が飛び交うと思います。その中で自分の考えをしっかりと持ち、言葉だけではなく実践していくことによって他のスタッフにも伝わると思います。


投稿:女性 50代  介護支援専門員 岐阜県 デイサービス・デイケア 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2013/06/06 17:26:27

介護の仕事を始めて、まだ2ヶ月であれば色々不安になることもあって大変でしょうね。
ご利用者に対するあなたの対応は間違っていませんから、まずそのことには自信を持って頂いて良いでしょう。
職場に出づらくなっているのも、利用者への対応に関するせいではなく、職場内の人間関係に不安を感じているからだと思います。
忙しい時間帯や、長く勤めているうちに理念がおろそかになっていると、こういった介護作業が優先してしまうことは、どこの施設でもどうしてもあるようです。残念なことですが、ヒトがヒトを介助している以上、どうしてもあり得ることになってしまいます。
そんな時に、ハッと自分の言動を振り返られる。あるいは、近くで仕事をしている者が振りかえりを促すことができるかが、その施設や職員のレベルとも言えます。
とりあえず、今のあなたの不安や心配を、リーダーさんなど信用のおける人に相談してみてはいかがでしょう?
その先輩にも、その時の対応に何か理由があったのかもしれません。非難するだけや遠慮するだけでは、今後もこういった問題や場面はゴロゴロ出てきます。
3年後には2倍になっていると報道された認知症の高齢者数です。的確で心のこもったケアがどれほどできるかが、私達福祉にかかわる者全員の課題ではないでしょうか?
脅かすようですが、これからもそんなイヤな場面や傷つくことは出てきます。でもそれを、ゆっくりでもいいから一つずつ消化したり解決していけば、3年もたてば周囲から信用され頼られる素敵な介護職になれますよ


投稿:女性 40代  その他 埼玉県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/06/05 22:37:36

毎日のお仕事、お疲れ様です。つらかったですね。
先輩の方の「間髪入れずに脱衣所に連れて行った」行為は、「介護虐待」にあてはまると思います。
先輩の方も、たぶん、駆け出しの頃はそうではなかったと思いますが、経験を重ねるうちに、「入居者のお役に立たせていただく」という気持ちから、段々と「効率よく介護をこなす」という風に変わっていってしまったのだと思います。
私は介護職ではないのですが、もしその場に遭遇したら、まず「そうですか。入りたくないのですね。」と一端は受け止め、「では、今ではなく、少し時間をずらしてみますか?」などと提案したり、状況によっては、他の理解していただけそうなスタッフに相談し、他の入居者に先に入っていただいて、また時間をおいて、お声がけをみるのも一案かな?と思います。



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