認知症ケア事例ジャーナル Netカンファレンス
 
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今月のテーマ

母(74歳)は4年前に血管性認知症を発症し,現在は要介護4で,なにをするにも介助が必要な状態です.自分からなにかをしようとすることはほとんどありませんが,家族が側に行くとほほ笑んだり,いやなことをされると顔をしかめたりします.膀胱の機能が悪いため,発症時から膀胱留置カテーテルを使用しています.
発症からしばらくは病院や介護老人保健施設にお世話になり,約1年前に運よく特別養護老人ホームに入ることができました.父(76歳)は昔から腰が悪く,手足のしびれもあって,最近はあまり動けなくなっています.娘の私(50歳)もがんを患い,いまも治療を継続しているため,母が特別養護老人ホームに入所できてとても安心していました.
ところが,1か月ほど前から母に発熱がみられ病院を受診したところ,すぐ入院する必要があるとのことでした.検査の結果,医師から「腎臓の炎症がひどくなっています.膀胱留置カテーテルではなく,腎臓から直接尿を出す,腎ろうという方法にしなくてはなりません」といわれました.さらに「腎ろうにすると施設ではみてくれないから,在宅介護になるでしょう」といわれ,驚きました.
いまの私たちの状態では,母を在宅介護していく自信がありません.腎ろうにはせず,このまま母が悪くなっていくのを見守るしかないのでしょうか.どの施設も,特別な医療処置が必要になると受け入れてくれなくなるのでしょうか.
みなさんの経験談やご意見をお待ちしております.

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投稿:女性 60歳以上  その他 東京都 その他 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2014/01/06 13:09:27

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編集委員会より
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5月の相談は,腎ろうという医療処置を行うことで,特別養護老人ホームの入所利用が継続できないのではと心配している娘さんからのものでした.
みなさんのアドバイスにもありましたが,特別養護老人ホームで腎ろうの管理ができるか否かは施設によってさまざまです.相談者は医師から「施設は無理」だと聞き,たいへん慌てていました.実際には,診断書をもらい,医師からの説明を施設の看護師に伝えたところ,「腎ろうをつくった状態でも受け入れはできる」と答えてもらい,「とりあえずほっとした」と話していました.
もともと尿道カテーテルが留置されていて,本人が気にする,抜くといった行動がみられないことを施設の人が知っていたことのほか,継続的に治療してもらえる病院があることも受け入れに影響していたかもしれません.
みなさんから,「腎ろうをつくるか否か,根本的なところから考えてみては」というアドバイスをいただきました.たいへん重要な助言だと思います.ただ,このケースの場合には,その判断がとてもむずかしい状況にありました.本人の意向が明確でないこともありましたが,医療者側が「腎ろうをつくらない」という選択肢を提示していないこともその理由のひとつでした.「腎ろうをつくらない」と決断をした際,医療者・医療機関がどのようにサポートを継続してくれるのか,本人の苦痛や症状がどのようなものになるのか,その状態でも施設にいることはできるのかなど,家族の不安は大きくなると思います.
相談者の家族の場合は,「今後,施設でうまくいかなくなったら,次は療養型の病院を選択肢に入れる」ということでした.人工的な栄養摂取,人工呼吸器に関しては,その医療・処置を行わない選択も考慮されるようになりつつあります.そのほかの医療・処置についても,在宅や施設で継続していくためのサポートや,医療・処置を行わない選択とそれを選択した場合のケアについて考えていく必要があると感じました.


投稿:女性 30代  介護支援専門員 福岡県 その他 家族介護経験あり(過去) 投稿日: 2013/05/25 0:49:08

ケアマネをしています。
同じような方の説明をご家族とご本人と一緒に医師からの説明を受けたことがあります。
その際にも医師は「腎ろうをすると施設入所は難しくなります。」と言われていました。
ただ、腎ろうだけの選択肢ではなく、炎症を抑えるために点滴治療という選択肢も出されていました。

なぜこのような状況になったかの説明をし
腎ろう造設のメリット・デメリット
点滴治療のメリット・デメリット
それぞれのリスク

をしっかりわかりやすく説明していただくことができました。
結果、ご本人の意思を尊重し、家族もその判断を尊重し点滴治療で様子を見ることになり、奇跡的な回復がみられました。これはあくまでも私の関わったケースであり、質問者様のお母様とは症状も環境もご本人の心身のレベルも違いますので、主治医と再度相談を重ねることをお勧めします。
また、元々特別養護老人ホームに入所されていたのですから、そちらの施設の施設長、ケアマネ、相談員、看護師等とも相談されてみてはいかがでしょうか?
新規の受け入れとは違って、入居されている方が状況が変わることは予測して日々のケアをしてくれているはずです。施設としてどこまでできるか?要相談だと思います。

そこで大事になってくるのは、ご本人の「意思・意向」また、家族の「思い」です。
現状ではご自身での意思決定は難しいと思います。
思い出してみてください・・・。お母様はどのような考えの方でしたか?
生きることに関して、最期を迎えることに関して。
お母様の意思を代弁できるのは今まで生活を共にしてきた家族だと思います。
74歳とまだお若いですが、「覚悟」をしなければいけない時期かもしれません。
また、質問者さまご自身も治療中とのこと。ご自身の体のことも考え、頼れる方に支援をお願いしてください。くれぐれもお体ご自愛くださいませ。


投稿:女性 40代  看護師・保健師 静岡県 特別養護老人ホーム 家族介護経験なし 投稿日: 2013/05/23 14:26:43

特別養護老人ホームもいろいろな特色があると思います。
病院付属の大きな施設から、小規模の施設までいろいろあります。
その中で医療に強い施設というところもあるのではないでしょうか?
夜間にも看護職員がいる特別養護老人ホームもあります。
特別な医療処置でお断りするというのも、施設により様々な基準になっています。

ただ、他の方の意見にもありますが腎ろうを管理するとなると、急な発熱などでの受診などの対応はどうしても医師が不在の特別養護老人ホームでは限界があると思います。普通の膀胱留置カテーテルよりも重症の状態になることも考えられます。その都度かかりつけ医に救急でも受診が可能ならば、あらかじめそういう方針で特養の施設で対応ができる場合もあるかもしれません。

腎臓の炎症という所見で、腎ろうを作ること以外の選択肢をきちんと確認して本当にその選択しかないのか、もし作らなかった場合は腎臓がダメになってしまい透析が必要になるのか?両方の腎臓なのか?
そういう細かいところまで家族としても確認することが必要だと思います。
抗生剤の投与などでの完治が望めないということなのでしょうけれど、片方の腎臓がダメになって、もう片方の腎臓だけでは厳しい状態ということなのでしょうか?もちろん透析が必要な場合もいろいろと難しいことがあるとは思います。

それから身体から管が出ているということに対しての御本人の反応は大丈夫でしょうか?
膀胱に留置されている管を抜いてしまう場合と、腎臓に直接管が入っている場合に抜いてしまう場合とでは、危険性が違ってきます。御本人の認知症の症状によっても心配なところです。


投稿:男性 30代  介護福祉士 沖縄県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/05/15 12:53:21

大変厳しい状況にあるかと思います、母(74)の腎・膀胱機能障害に応じた医療処置や看護ケアは永続的に必要となるでしょう。また、介護保険施設等では生活介護の中で様々なケアを受ける中でどうしても定期的な通院や留置カテーテルの管理(腎・膀胱は排尿を生産排出機能する為、機能低下や膀胱留置は尿路感染症の防止)も必要になります。
 介護ケアにおいて留置カテーテルは大変注意を必要とします、特に移乗等での不注意による抜去やカテーテルを屈曲させることもあります。水分摂取が少ないと排尿量も少なくなり、腎・膀胱内の菌を排出できず発熱等で救急受診もあります。そういった医療的なことから生活介護のケアまでを考えながら、本人の希望を汲み取りながら在宅でのケアか?医療療養型施設?介護保険施設等を選択していく必要があると思います。地域にある地域包括支援センター等の相談機関での母(74)に必要なケアが適切に受けられる環境をコーディネートできるといいですが。腎ろうの施行は同時に生命維持の問題でもあり、一番の苦痛は母本人であること考え、早めに市町村役所等へも相談してみましょう。


投稿:女性 40代  その他 埼玉県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/05/12 7:43:20

現状、確かに医療処置が必要になると、入所が難しかったり、退所を求められるところも存在はします。
自治体や地域にもるよのかもしれませんが、少しずつ、施設の状況も変わってきてもいます。
つい、最近、近所の「サービス付高齢者住宅」を見学させていただきましたが、医療処置が必要になった場合でも、そのまま居住でき、すぐ近くの協力医療機関と連携しながら受診・通院・入院可能ということでした。「サービス付高齢者住宅」は、特養よりは入居金は高額になりますが、有料老人ホームよりは、金額的にも負担は少ないです。(逆に、「医療依存度の高いケースも対応可」とうたっていて、実際は、入居したら「対応できるスタッフがいなかった、少なかった、そのためにかえって重篤化した、というケースもあります。)
事業所によっては、対応してくださるところもあると思いますので、たとえば、見学会などに行ってみるのもよいかな?と思います。あまり参考にならないかもしれませんが、書かせていただきました。



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