認知症ケア事例ジャーナル Netカンファレンス
 
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今月のテーマ

私は母と離れて暮らしている専業主婦です.母は父と死別してからも元気にひとりで暮らしてきました.
母には近所に住む40年来の友人(85歳,女性)がいて,週に2回ほどその友人宅へ行き,裁縫やおしゃべりを楽しんできました.母はその友人を“先生”とよびたいへん信頼しています.“先生”は2年前にアルツハイマー型認知症と診断されたようですが,母は“先生”と仲良くつき合ってきました.
ところが,“先生”には子どもがなくひとり暮らしだったことから,心配した親族が2週間前に,車で1時間ほどかかる施設に入所させてしまったのです.そのことを知った母は“先生”に会いたい一心で,タクシーで施設に行きましたが,施設の職員から「里心がつくから来ないでください」と面会を断られたそうで,たいへん落ち込んでいます.母は,「職員にいやがられてもよいから会いに行きたいけれど,タクシー代も高いし会いに行けない……」と,あきらめざるを得ない状況です.そして私のことを「あなたはなにもしてくれない.私はひとりぼっちだ」と非難するようになりましたが,私には夫や子どもがいるため,いますぐ母と同居するわけにはいかず,悩んでいます.
それまで,認知症は私にはあまり関係のないことだったので,母や自分が“先生”からこのような影響を受けることは,まったく予想していませんでした.
私はこれからどうしたらよいでしょうか.アドバイスをお願いします.

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投稿:女性 40代  その他 東京都 その他 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2013/06/03 14:39:01

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編集委員会より
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新年度がスタートしたばかりのお忙しいなか,貴重なご意見をありがとうございます.
4月のテーマは,母親の友人である“先生”が認知症となり,施設へ入所したことが母親と相談者(娘)へ与えた影響についてでした.入所先の施設では,相談者の母親に「里心がつくから面会に来ないでください」と伝えています.
みなさんのコメントにもあるように,相談者の母親はこれまで“先生”をとても頼りにしてきて,その信頼関係は“先生”が認知症になってからも変わりませんでした.相談者の母親に“先生”の電話番号から何回も無言電話があっても,“先生”の自宅を訪ねたとき「あなた,だれだっけ?」と言われても,母親は相談者に「“先生”ったら,認知症だからかね,こんなことがあったのよ.でも“先生”は“先生”だから」と笑いながら“先生”とのやりとりを話していました.
でも,“先生”と簡単に会えなくなったいま,「あなたはなにもしてくれない.私はひとりぼっちだ」と相談者を非難し,ときには「夫が亡くなったときよりも気持ちがしんどい……」とつぶやくこともあったそうです.このような相談者の母親の気持ちについて,コメントをお寄せくださった方々は深く理解し,相談者ができそうなことをいくつも提案してくださいました.本当にありがとうございます.どの提案も相談者にとって目からうろこで,ホッとすることができたということです.
「里心がつくから施設に来ないでください」「里心がつくからなるべく施設に連絡しないでください」と言われた経験のある人は多数います.みなさんのまわりにも,同じような経験をもつ人がいるのではないでしょうか.
「家族が亡くなりひとり暮らしになる」「医療処置が必要である」「認知症が進行した」など,さまざまな事情で住まいを変わらざるを得ない現実があります.しかし,住まいが変わってもお互いの関係性まで切り離してしまわないよう,認知症ケアに取り組む私たちは自分たちのひと言が及ぼす影響の大きさを深く考えていきましょう.


投稿:女性 20代  介護福祉士 北海道 グループホーム 家族介護経験あり(過去) 投稿日: 2013/05/05 0:57:04

夫との死別、親しい友人と会えなくなってしまった、もしかすると夫と死別したあとの悲しみの少しはその
友人との時間で解消されていたのかもしれないですよね。
私たちも、古くからの友人と急に会えなくなってしまい会いに行くと門前払いされてしまったら悲しいと思います。そういったときに、お母様の気持ちをぶつけられる相手が娘様だったのではないでしょうか?
今までの親子の関係性がわからないので何とも言えないですが、「さみしい」「私は一人だ」と思っていることは確かだと思うので、時間のあるときに連絡をしたり子供たちからの手紙を渡すなどしてみてはどうでしょうか?
家族関係とは、いい意味でも悪い意味でも一番影響力があるのではないかと私は思います。
わがままを言える場所、素直に話せる場所があれば変わるのではないでしょうか。

子育ての経験も何もないので、いい言葉は出てきませんでしたが・・


投稿:女性 50代  介護支援専門員 新潟県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/04/29 19:10:46

その人の生活を大きく左右する存在、そういう誰かを失うという場面がお母様に訪れているのではないでしょうか。配偶者であったり、子供であったり、友人であったり、大切な人をご自身の生活から失ってしまう。お母様にとってたいへんショックなことであったと思います。今までにも家族と離れ、ご主人を失い、高齢になって今は心の拠り所にしていた友人を失ってしまった。お母様の精神状態が非常に不安定な状態であると思います。

そして一番身近であった大切な友人が認知症になり、施設に入ってしまった。そして会いにいっても会えない、施設に入っていったいどうやって暮らしているのだろうか。お母様は現在ひとり暮らしをしておられ、ご自身もこれからどうなるのかとても不安になったのではないでしょうか。

 娘さんが時間が取れる時に一度お母様に会ってじっくりお話をしてみたらいかがでしょうか。それからお母様が元気で暮らせるために何か地域のコミュニティサロンのようなところやもっと趣味の生かせるような外出できるところを探してあげてはいかがでしょうか。
 それからこの先時間をかけてゆっくりひとり暮らしで高齢になったお母様の今後についてご本人も交えて話ができると良いのではないかと思います。


投稿:女性 50代  介護福祉士 奈良県 老人保健施設 家族介護経験あり(過去) 投稿日: 2013/04/20 1:39:38

1時間もかけてやっと会いに行ったのに、見ず知らずの職員から「里心がつくから来ないでください」と断られ、“大変落ち込んでいる”。 お母様にとって大変つらい事だと思います。二人の交流が共に支えあっている状況だったかもしれません。 寂しい、不安、それをどうやって支えられるのか。 とりあえずは、お母様をいつも気遣っているというメッセージを送り続ける必要があると思います。具体的には、同じ時間帯に電話で話す。時には、家を訪ねる、家に招待する。一緒に食事をとる機会を増やす。あなたの思いが通じれば、お母様の心も穏やかになり、あなたへの気遣いの言葉も出てくると思います。また、日が経てば、“先生”への訪問も叶えられるかも知れません。“先生”の入所された施設へ、幾度か様子や、訪問可能な状態であるか、尋ねる事も必要かと思われます。 再会出来ると良いですね。


投稿:女性 50代  介護支援専門員 岐阜県 デイサービス・デイケア 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2013/04/08 10:45:04

お母様が相談者にどんな言葉で不満を訴えてみえるのか詳しくわからないので、断定は出来るものではありませんが、この文面だけで判断する範囲では、ご自分一人で施設訪問しても、また断られるだろうし、お金もかかるから娘さんに連れて行って欲しいというアピールではないでしょうか?
 お母様の中には、むろん「先生」の入所とともに自分もそんな年になってしまったんだという寂寥感もあるでしょうし、入所した施設の対応に問題があるでしょうが、いきなり同居を考えるのではなく、月に1回程度でも、お母様と一緒に入所した施設に訪問するようにしたらどうでしょう? むろん面談訪問だけでなく、その前後に一緒に食事や買い物をしたりということも大切かと思いますし、事前に施設側に事情を話して、面談の許可をもらうということも必要かと思います。
 お母様が「何もしてくれない」と非難する理由は、自分が「先生」に会うための対策を、あなたにして欲しいということではないかと思うのですが。


投稿:女性 40代  その他 埼玉県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/04/06 21:26:43

これは、まずは、入所先の施設の側に問題があると思います。「里心がつくから。」なんて失礼です。入所者を「人生の先輩」としてみていない、子供扱い同然ともいえると思います。
お母様は、長年仲良くいお付き合いしてきた方と突然会えなくなったばかりでショックを受けていらっしゃる、まさにその真っ只中です。なので、色々な気持ちが交錯して、思わず周囲の方々にも、その思いをぶつけているのだと思います。
もう少し時期をみて、再度、施設に状況を確認してみるのも、ひとつの方法かと思います。(その時は、施設での生活にも慣れて、状況が変わっている可能性もあります。)
その間は、お忙しいと思いますが、電話・メール・はがきなどを活用して、お母様と、短い時間でもコミュニケーションを図る工夫をされてみるのもよいかなと思います。


投稿:女性 40代  介護福祉士 愛知県 特別養護老人ホーム 家族介護経験なし 投稿日: 2013/04/06 15:53:01

アルツハイマー型認知症による記憶障害、行動障害などのため、施設入所はご家族にはお辛い決断だったと思います。病気の進行によりたくさんのことに不自由が出てきても、ご家族や近親の方の記憶は必ず残ります。「里子心」の何がいけないのでしょうか?今のご家族様を認識できなくなっても、ご家族様を思いやる心、人を思いやる心として生きています。無理に記憶を消せば、心まで消えてしまいます。施設にとって帰宅願望はやっかいなことかもしれませんが、大切な人との記憶を忘れないでいられる配慮を望みます。


投稿:男性 30代  看護師・保健師 北海道 病院 家族介護経験なし 投稿日: 2013/04/05 8:49:23

専門職の知識だけで解決できる問題ではないと思います。
自分の母や祖母をみて感じることは、この年代の地域における友人との交流が普段の生活において、いかに重要であるかということを痛感しております。友人を失うことは生きがいや、その人の支えを失うに等しいことであると思います。

入所された、「先生」の認知症の程度・家族の状況はわかりませんが、入所前での二人の関係性が悪いものでなければ、家族に相談して「先生」と会うことが可能な状況であれば、たまに面会に行ってもいいのではと思います。会ってみないと「先生」がどういう反応なのか、面会後の状況はどうかなどはわからないので・・。それで問題があれば今後の対応を考えていけばよいと思います。

でも、「先生」の家族、施設の職員の考え方がどうかに非常に左右される問題ではあると思います。

スタッフ目線で言うと、里心がでてしまうのは当たり前、それでは家族の面会をも否定することになるのではないでしょうか?そこが、専門職の本領発揮の部分ではと思います。

里心を出すかもしれないピンチ!

しかし、地域の力をいかすチャンスでもある!


ということをスタッフ、ケアマネは考えるべきと思います。

また、「先生」の家族も、施設のスタッフも自分たちの都合ばかりでなく、本人にとってどうなのかという視点で考えていかなくてはいけないと思います。

今後、こういうケースというのはどんどん増えていくと思いますし、現在進行形で起こっているものだと思います。

ネックは施設側の姿勢ではないでしょうか?

言い方は悪いですが、「分断」されても対応できる社会づくりをみんなでつくっていく必要があるのではないでしょうか?

今回の事例は社会問題に値するのではないかと思います。



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