認知症ケア事例ジャーナル Netカンファレンス
 
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今月のテーマ

私はデイサービスに勤務する介護職員です.
介護保険制度の導入により,デイサービスやショートステイなどが介護保険サービスとして位置づけられました.そして,利用者はサービスを選ぶ際,自分にとって心地よく,つごうがよいサービスを選ぶ傾向が強くなったように感じます.
先日,新規利用者のAさん(70歳代,男性,要支援1)から,「体が冷えるから足湯をしてほしい」と頼まれ,大きめの桶に湯を溜めて用意しました.すると今度は,「足の指を洗ってほしい」と頼まれました.Aさんは自分で洗える人なので,「自分でできることは自分でしてください」と伝えたところ,激怒してサービスの利用をやめてしまいました.
私は利用者の自立を目指して対応していますが,すべての利用者がそれを望んでいるわけではないようです.
みなさんにはこのような経験はないでしょうか.また,Aさんのような利用者には,どのように対応したらよいでしょうか.

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投稿:女性 40代  その他 東京都 その他 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2013/03/13 13:36:11

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編集委員会より
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多くのご意見をありがとうございました.
私は,相談者が勤務するデイサービスの責任者で,この相談は,私が若い介護職員から受けたものでした.
2月の相談のポイントとしてみなさんが挙げていたのは,「要支援1」「新規利用者」でした.要支援1の利用者であれば,足の指は洗えます.そのため,相談者はこの利用者に対して「洗えるのに,なぜそのようなことを言うのだろう」と感じていたようです.みなさんからもご指摘があったように,相談者はなぜAさんがそのような発言をしたのかといった,Aさんの心理面を考慮する余裕がなかったそうです.
ここで「新規利用者」ということが重要になります.利用者は初めて通所介護サービスを利用するので,どのようなことをするのだろうかと,不安と期待が入り混じった複雑な心境だったことでしょう.これから人間関係を築いていかなければならないという不安もあります.そのなかで,勇気を出してAさんが発した言葉を簡単に突き放してよいはずはありません.みなさんの意見に納得したり,反省させられたりした部分がありました.
この事例では,介護支援専門員(ケアマネジャー)からの通所介護サービスについての説明や私たちとの担当者会議のなかでは,Aさんはなにも言っていなかったので,態度が豹変したことに驚かされるばかりでした.その後,Aさんとは「できる部分は自分でしてもらう」ように話し合いを重ねました.話し合いのなかで,「これは権利だ」「楽しませるのが仕事だろう」など,心ない言葉を浴びせられました.
最近,通所介護サービスの新規利用者に,介護職員を使用人のようにあごで使う人が増えているように感じます.先日も,「入浴のときには背中を洗うものだろう!」と,介護職員に命じている男性利用者をみました.その人は,自分で背中を洗うことができます.命じた理由は「お金を払って来ているから,なにかするべきだろう」でした.
私たちは,利用者の自律した生活を支える仕事をしています.利用者を介護する家族への配慮も行っています.Aさんような人ばかりではありませんが,最近,このような利用者と巡り合う機会が増えてきたなと思うと,ため息が出ます.


投稿:女性 50代  介護支援専門員 新潟県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/02/24 20:47:54

他の方が書かれているように新規の利用者さんが「足の指を洗ってほしい」と言われたら、まず洗いながら、そのニーズの中にどんな思いがあるのか、話をしながら聞いてみたいと思います。
初めてデイに来られたということなので他の利用者さんの様子を見ていて頼まれたか、デイに行ったらできたら足湯をしてみたい、足の指も洗ってくれるだろうかと数日から考えていたのかもしれません。そして足を洗った最初の時にその思いを大切にしながら自立支援に向けての話をしていくことが望ましいのではないでしょうか。

介護保険は契約をしてサービスの提供をしています。介護保険開始の時、導入前後は措置から契約へという言葉や自立支援という言葉を多く耳にしていました。今回のような悩みが多く聞かれたようにも思います。
ご自身の中に「自立支援」とはこういうものだというイメージがあるのでしたら、次にどう関わっていったらこの利用者さんが自立に向かっていけるのかと考えてみて関わりをもたれたらいかがでしょうか。


投稿:女性 60歳以上  看護師・保健師 長崎県 デイサービス・デイケア 家族介護経験あり(過去) 投稿日: 2013/02/23 23:20:43

自立支援 難しいですね。
以前利用者さんが話されたことをすぐ思い出しました。「昔若いころ、銭湯に行くと三助さんと言って背中を流してくれる専門がいた。それが気持ちよくて家の風呂には入らないでよく銭湯に通った。」というものでした。この事例Aさんに置き換えて考えてみました。働き盛りの若いころ誘われて銭湯に初めて行った。最初はどんなところだろうと不安、恥ずかしさ、興味を抱えて行ってみた。ところが背中を洗ってくれる人がいてとても気持ちがよくて、それから家の風呂ではなくお金を出してでも通うようになった。新規利用のAさん、
どんな所だろう、どんな人が来ているか、何をして時間をつぶすのか、不安と複雑な気持ちで利用開始されたと思います。勇気を出して足湯をしてほしいと言ったところ桶に湯をためて準備してくれた。ここで1〜2分の心がほしかったですね。「湯の温度はこれでいいですか?ほんとに冷えてますね・・」と言いながら1分程足先をマッサージしてあげる。それから理由を告げて「また来ますのでご自分でもこのようにマッサージをしてみてくださいませんか?」と、その場を離れる。少しは激怒の程度も軽く次の利用に繋がったかもしれないと思いました。プランに沿って、マニュアルどうりにしなければならないかもしれませんが、新規の方には「また来たい」と思ってもらうような柔軟な対応も必要かと思います。個別ケア⇒自立支援に徐々に移行していくことになる、またそれが継続した利用に繋がっていくと考えます。1分間の心の提供、、コミュニケーション


投稿:女性 40代  看護師・保健師 滋賀県 老人保健施設 家族介護経験なし 投稿日: 2013/02/22 10:09:25

利用者様の希望と自立支援とサービス業であることと色々なことを考えてしまい悩みますよね。私は老健で働いていますが、やはり‘新規利用者様’というところがポイントなのではないでしょうか。性格もそれまでの生活状況もある程度は情報提供書で得ていても実際の関わりとなると違うことが多々あり。なぜその利用者様は、デイサービスを利用することになったのでしょうか。自立支援は重要ですが、まずは利用者様を知り、その利用者様の思いを知ることが大切だと思います。自分で出来ることは分かっていても、最初は介助しながら、世間話をしながら洗って欲しいと言ったAさんの思いを聞き、次回からは自分でしようかなと思えるような関わりが持てたら良かったのではないでしょうか。Aさんにとっての自立とはどこまでなんでしょうかね?


投稿:男性 30代  介護福祉士 沖縄県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2013/02/16 10:55:53

これまた難しいサービスですねぇ!Aさんからの主訴に対し、桶にお湯を溜めて足湯の準備をする、末梢冷感や冷え症の方には有り難いサービスですよねぇ。しかし、要支援1でありながら出来ることは可能な限りやってもらう、足の指まで洗ってほしい主訴は自立支援からして過剰介護・サービス外にように受け止められますね。ここで私が考えたことはAさんは“新規の利用者”であること、介護職員との信頼関係や周囲との環境(他の利用者、ディサービス、他の専門職等)にまだまだ課題があったのではないかと考えました。
 新規の利用者はサービスのこと細かい内容は知らないでしょう、また介護サービスという名目ではサービスの範囲・量は曖昧だったり、ケアマネジメントで固定されたサービスでは物足りないと感じるかもしれません。新規の利用者だからこそ、はじめはわがままのような、難しいそうな方からさまざまだと思いますし、こちら側の自立支援と利用者側の自立支援に大きな認識の差があるかもしれません。専門職が一方的に自立支援を当てはめてくると反発してくる場合もあります。ここは、まず一応は受け止めて、足湯を準備して、足を洗ってほしい理由を考え、足を洗いながら動機を聞き出す。信頼関係構築の1つとして、また心身機能の再アセスメントだと思って心理的な要因「自分でできるけど、してもらいたい」があるのではないかと探ってみてください。ケアプランに追加として、必要に応じて専門のフットマッサージも検討してもよいでしょう。また、通販生活のCMにあった両足まるごと筒状入れる湯たんぽもいいでのは?


投稿:女性 50代  介護支援専門員 岐阜県 デイサービス・デイケア 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2013/02/05 17:42:49

ご本人から足浴の希望があり、対応した理由は何なのでしょうか?
 この利用者がデイ(ショートですか?)を利用されることになった目的は何なのでしょう。
 足浴も援助計画にあったのでしょうか?
 もしプランにないのに足浴を利用者の希望だけで提供しておいて、「足の指は自分で」と言ったら、利用者が不親切だと怒ることも予想できます。この利用者は、この職員に拒否されたと思ってみえるのではないでしょうか?
 足が冷える理由は? 血流や疾患によるものですか? ひょっとしたらスキンシップが欲しいのでは?
 理由とその対処法は色々あるはずです。足の指を洗いながら、そういったあたりの話をお聞きし、これからどうしようかと一緒に考えるという方法もあるのでは?
 新規利用の高齢者は、色々な思いでデイへみえます。
  元気だった自分が「こんなところ」を利用するようになってしまった。
  他の利用者はどんな人が集まっているんだろう?
  職員は親切なんだろうか、意地悪や馬鹿にされたりしないだろうか…。
 色々な不安を抱えて来て、時にはまるで、職員がどんな考えで自分に対応しているのか試そうとするかのように質問したり依頼したりすることがあります。
 自立支援は大切なことです。私自身も含めてつい「自分でできることは自分でしてね」と簡単に言ってしまいがちですが、自分で洗身をしたり、ズボンをきちんと上げることだけが自立ではないということを認識して利用者と一緒に、其の人にあった「自立」のレベルと方法を話し合っておく必要があるのではないかと思います。



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