認知症ケア事例ジャーナル Netカンファレンス
 
 こちらは認知症に関するテーマを基に,地域・年代・職種に関係なくおのおのの意見を述べていただく場です. 1つのテーマを基にさまざまな視点,立場からの意見および取り組みを知ることを目的としています. 日本認知症ケア学会会員,認知症ケア専門士にかかわらずお気軽にご意見をお寄せください.

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今月のテーマ

私は,特別養護老人ホームに勤務している介護職員です.
先日,入所者のA氏さんが,リハビリを一所懸命がんばったかいもあり,数歩ですが何とか自力で歩くことができるまでになりました.Aさんは,「生きていればよいこともあるのよね」「もう少しがんばって,トイレに行けるようになりたい」と,いままでにない笑顔を見せてくれました.
ところが,面会に来たご家族に,これを喜ばしいこととして報告したところ,「あなた方はなにもしなくてよいです.私の苦労などなにも分かっていない」と,激怒してしまいました(あとから,Aさんが在宅生活で3度の骨折を経験していることを聞きました).
以後,それまで毎日笑顔でリハビリに励んでいたAさんは,ベッドで寝る時間が長くなり,私たちがリハビリに誘っても,「よいわ……」とだけ言って断るようになりました.
私たち職員は,Aさんが自立へ向けてがんばっている姿や,喜んでいるのを励みに支援をしてきたため,この出来事によって,「自立支援なんて,絵に書いた餅」とまで言う職員も出てきました.
このままではAさんの思いにこたえられず,ご家族にもうまく説明できず,職員のモチベーションも下がるばかりです.
どのようにしたら,この状況を改善できるでしょうか.みなさんのご意見をお聞かせください.

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投稿:女性 40代  その他 東京都 その他 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2012/12/19 20:04:29

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編集委員会より
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コメントをお寄せくださったみなさん,ありがとうございました.相談者は,みなさんのコメントにたいへん勇気づけられたことでしょう.また,相談者と同じ悩みをもっている読者も多いと思います.
家族の思いを大切にすることも,専門職の重要な役割です.家族の思いを無視して,利用者介護を行うことはできないと思います.専門職はだれを支援しているか,改めてしっかりと自覚する必要があると思います.10月のテーマのように,利用者の思いに沿ってその代弁者となる専門職があきらめてしまったら,だれが利用者の思いを実現することができるのでしょうか.
国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health;ICF)の視点で考えてみましょう.利用者の活動を促進する因子に,人的環境があります.サービス提供者が利用者の「トイレまで歩きたい」という思いを支援することにより,その人らしい生活により近づけることができ,尊厳ある支援となると思います.しかし,専門職が利用者の思いとは別に支援をやめてしまえば,専門職は利用者の阻害因子となります.
相談者の職場では,支援を行うことに対して職員が前向きに考えられなくなってしまっているのではないでしょうか.自分ひとりで悩むのではなく,他職種の職員に相談をしてみてください.また,他の施設の仲間に相談するのもよいと思います.相談を受けた仲間は,決して施設の悪口や批判ととらえないと思います.
また,「利用者本位のサービス」などに関する研修や研究会へ参加することも,「よし,がんばるぞ」と,気持ちを新たにするきっかけになるのではないでしょうか.あきらめずに取り組んでみてください.


投稿:女性 20代  ホームヘルパー 群馬県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2012/11/08 18:15:45

ご家族の意見もごもっともで、
いくら自立への意欲があっても、
そこに危険やリスクが伴う場合
家族としては、その意欲が心配や悩みの種になるという話しは
よくある事だと思います。

もちろん、本人の意欲や自立心は尊重するべきだと思います。

このまま一生を特老またはその他
その方に合った形の施設で過ごすのであれば、
職員の管理の元意欲を大いに尊重し、
リハビリに力を入れるべきで、
その旨をご家族に理解して頂けば良いと思いますが、
本人ないしご家族が自宅自宅での生活を希望する場合には、
介護する家族との話し合いやリスクを減らす為の対策を考える必要があるでしょう。

認知症の方が自宅での生活を送るには、
ご家族の介護の大変さは勿論、危険も伴います。
経済的事情などの支障がないのであれば、
上記の文章を読んだ限りでは、施設へ入所し、
ご家族の理解を得た上で、
その方らしい生活が出来れば良いと思いました。


介護職についていると、
この様な矛盾を感じる事はとても多いと思うのに、
Aさんの頑張りを励みに思い
悩む事の出来る、
この施設はとても良い施設だなーと感じました。

担当者会議等でご家族との話し合いの場をもうけ、
ご家族の理解や支援が頂けると良いですね。


投稿:女性 40代  看護師・保健師 広島県 その他 家族介護経験あり(過去) 投稿日: 2012/11/04 4:54:12

家族が怒った気持ちがわからないでもありません。
骨折して痛い思いをしたり、不自由な入院生活を送ったりする本人を見るのが辛い・・
だから骨折するかもしれないのに歩行練習をするより、いっそ動かして欲しくないと思ってしまう。
また、入院ともなれば家族の負担が増えます。長くなればやっと入所できた施設から退所しなければならない
などなど不安が沢山だったのではないでしょうか。
でも
落ち込んだAさんを見て誰より家族が傷ついていると思います。
すぐには修復は難しいでしょうが、根気よく時間をかけて関わっていただければと思います。
家族がAさんを大事に思っているのならばAさんの笑顔が引き出せるケアをきっと理解してくれる筈です。


投稿:男性 50代  医師 長崎県 病院 家族介護経験なし 投稿日: 2012/11/03 19:53:03

ご家族の考えを変えて頂かない限り、職員の方々の取り組みは再開できませんね。しかし、この状況を見る限り、説得ができるとは思いません。できないことはできないという考え方も必要かと思います。それでも、ご本人のためにという職員の取り組みは続けておくことはできるのではないでしょうか?ご家族から怒られた入所者の方は意欲をなくしているのですぐに歩いたり、立ったりの訓練はしたがらないと思いますので、まずは寝たままでもできるので、足の拳上などから再開してみたらいかがでしょう。ご家族には報告しないでできることを探すしかないのでは・・。


投稿:女性 60歳以上  介護支援専門員 千葉県 その他 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2012/11/02 21:41:12

自立支援で家族と意見が違うのはとても辛いですね。私が働いている施設でも、同じような問題がありました。家族はやはり、今度骨折したら寝たきりになりますと医師に言われ、歩かせないで下さいとの申し出がありました。しかし、それでは本人の持っている力を無視することになると思い、ご家族に「今から寝たきりにしてしまいますか?それとも転倒して骨折して動けなくなるまで歩いていただきますか?寝たきりになったら内臓も働きが悪くなってしまいます。少しでも長く歩いてもらいませんか?どうしても歩かせないでとのご希望でしたら歩かせません」といいきりました。渋い顔をしていましたが歩かせないでとは言いませんでした。
現在はシルバーカーを押してどんどん歩いています。ご家族は、こんなに歩けるようになるとは思わなかったと喜んでいらっしゃいます。  ご家族の、思いも傾聴し、ねぎらってください。痛い思いはさせたくない、痛がっているのを見るのは辛いのかもしれないですよ。  無理せず少しずつ歩行練習してください、歩いているときの笑顔をご褒美にしてください。


投稿:男性 30代  介護福祉士 沖縄県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2012/10/17 14:25:18

今月のテーマは何とも歯がゆいような、また自立支援と法関連では謳いながら実際の介護の場面ではご家族さんとの意見・要望または価値観に大きな違いがあることも事実だと思います。また、介護専門職および保健医療専門職の価値観・福祉の観点・命の尊厳等からA氏にどういった介護・リハビリをしていくのか?介護支援専門員とチームでA氏の短期目標や長期目標を考えていく必要があるでしょう。
 ここで、A氏とのコミュニケーションから意見・要望を十分に汲みとる必要があり、ソーシャルワークの観点からもご家族さんの意見があっても、まずはA氏の気持ちを代弁し、意思を尊重したケアプランを練っていく必要があることご家族さんにも協力・連携してもらうよう説明をしていく方法が考えられます。また、特養を利用するのはA氏本人であり、主体性を尊重したリハビリや介護は勿論のこと、転倒などのリスクを想定したマネジメントも検討しなければならないでしょう。もう1つ重ねて説明をする必要なことは「重症化の予防と医療機関利用の軽減」「QOLの質と個別化」ではないかと私は考えております。リハビリを継続することで全身的な機能維持になり、廃用性等からADL低下や疾病による医療機関リピーターを軽減(保険財政抑制効果)できるでしょう。次にQOLでは施設生活でも生きる力や何とか寝たきりを防ごうという希望も出てくるでしょう、個別介護にで出来る介護やリハビリを重視(質の高い自立介護サービス)していくことも合わせて自立支援で謳うところではないかと思います。



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