認知症ケア事例ジャーナル Netカンファレンス
 
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今月のテーマ

私は特別養護老人ホームに勤務している介護職員です.食べることに無関心なのか食べることを忘れているのか,認知症の進行に伴って口を開けてくれなくなった方への食事介助について悩んでいます.声のかけ方や食事形態について同僚と話し合い,さまざまな工夫を行っていますが,なかなかうまくいきません.
なにかよい対応方法がありましたら教えてください.

新しい記事から表示します.1度に20件の書き込みを表示します.
投稿:男性 30代  その他 東京都 その他 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2012/08/20 14:21:42

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編集委員会より
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施設では,さまざまな理由から食事介助を受けている利用者が多いです.食事介助の際に気になるのは,みなさまが指摘しているように,1人ひとりに対してていねいにアセスメントした結果なのかという点です.今回のテーマの,食事の際に口を開けようとしない利用者についても,その原因や要因を探るべきだという意見が多くを占めていました.たとえば,大分県の作業療法士の方が指摘している「味覚」についてです.認知症の進行とともに,味覚の変化が起こる利用者はいますが,その方々は自らの言葉で「味覚が変になった」「味がおかしい」とはっきり伝えることがむずかしい状況なのです.
さらに重要なのは,東京都の方が指摘している,食事のどこまでを理解できているかです.この「利用者の理解」には,多くの意味が含まれていることを示唆してくださいました.なかでも,利用者が食べる意識をもてるように促すことは重要なことです.そして,意識を向けてもらうために,利用者の視覚,聴覚,味覚などに働きかける具体的な方法も書き込んでくださいました.実際に,利用者の意識が食事に向いていない状態で,食事介助が始められる場面を目にすることがありますが,覚醒度が低い状況で食事を始めることは誤嚥の原因にもなります.
大分県の言語聴覚士の方が書き込んでくださった内容に納得しました.それは,「(介護者の)日頃の関わり,刺激を入れてあげることが食事にも関わってくる」でした.食事介助でかかわるだけでは,なにもみえてきません.生活のなかでのちょっとした会話,表情を気にすることで利用者と交流ができ,アセスメントにつながると感じました.利用者に関心を寄せる,そんなケアの第一歩を見直すことができるひとことでした.


投稿:男性 40代  介護支援専門員 埼玉県 老人保健施設 家族介護経験あり(過去) 投稿日: 2012/07/30 12:25:14

こんにちは。何とかおいしく召し上がっていただければと思いますよね。ですから、いろいろ工夫もされているのだと思います。

皆さんの書き込みに、口腔内、嚥下機能、姿勢、食器や食事事態の認識等全体的な再アセスメントの実施が提案されていますし、実際の取り組みについてもたくさん書かれているので、いまさらとは思いますが、私が勤務している施設で実施した取り組み、地域で行ってる事例検討会で提案されたことについてお伝えします。

・箸と茶碗(もしできればご本人が使っていたもの)を用意して、持っていただき、食事を勧めてみる。
手指の動きが普段あまりなくても、長年箸で召し上がっていた方は、当然のように使い始めることがありました。他に、施設では取っ手付きのマグやコップで飲物を飲むことが多いかもしれませんが、湯呑でお茶を飲んでいただくなどもきっかけになったことがあります。また、この方は普段、意思疎通はほとんどできず、独語も多いかたなのですが、みかんを手に持っていただいたところ、皮をむいて房を口にしたこともありました。

・義歯をはめてみる。長年義歯を使用していなかった場合、歯肉がやせてしまい合わなくなっていることもあるので、義歯の装着が可能かどうかも含めて、歯科医師に相談してみるといいと思います。義歯を入れ、鏡を見ていただくことによって、顔の表情が一変し、その後食事を召し上がった方がいらっしゃいました。

・耳垢の確認をしてみる。難聴が原因で意思疎通が困難な方もときどきいらっしゃいます。聞こえることで意思疎通がしっかりする場合もありました。

・生活歴の中で、例えば神仏にお供えしてからではないと食事をしなかった、仕事をしてからではないと食事をしないなど、食事を始めるにあたっての習慣を確認してみる。

・大勢の人の中ではなかなか集中できない方の場合、少人数または職員と1対1で食べる環境を作る。職員も一緒に食事を食べながら食事介助を行ってみる。この方法でそれまで食事介助で召し上がっていた方が、一人で食事を召し上がるようになりました。

・畑をやっていた経験のあるかたであれば、施設内に野菜などを植えて、直接トマトやキュウリをその場で食べる。

・薬の問題もありました。利尿剤を服用されていた方で、インアウトチェックを確実に行っていなかったため、知らず知らずのうちに脱水に陥っていて、意欲低下、食事摂取もほとんどできなくなったことがありました。利尿剤の服用を中止し、しばらく様子を見たところ、意思疎通もできるようになり、食思も回復したケースがありました。

他に、梅干しやアイスクリーム、ふるさとの思い出の味(例えば鹿児島のかるかんや群馬の焼きまんじゅう、長野のおやきなど)をきっかけに食事への意欲がでてきた方もいらっしゃいました。

悪いことばかりに目を向けないで、いいことできることに目を向けてみることも大切ですよね。そして心・身体・環境のアセスメントから必ずヒントが見つかると思います。もちろん、一人ではなく多職種で。そして、いろいろなアイデアを関わる人に出してもらって、トライしてみることが大切だと思います。その利用者の幸せを願って関わっているみなさんならきっと何かいいきっかけが見つかると思います。
その方が食事をおいしく楽しく召し上がれるようになるといいですね。


投稿:女性 30代  作業療法士 大分県 老人保健施設 家族介護経験あり(過去) 投稿日: 2012/07/28 22:13:08

認知症の方の食事については、本当にいろいろな問題があります。
 やはり皆さんがコメントされているように、一つ一つ丁寧にアセスメントし、ひも解いていくことが大切と考えています。その時には、やはりその方に関わる多くの専門職の視点が必要なんだなということも実感している毎日です。

 最近、食事に関して気にかかっていることに、「味覚」があります。
 認知症の方が、食べることに対し興味がない、口に貯め込んでしまうなどの状況には認知機能の低下による「先行期」の問題が考えられますが、「味覚」も大きな要因かもしれません。味覚障害の方が「食事がまるで砂を食べているようだ」とお話していることがありました。砂であれば飲み込みたくはないですね。

 歯科医や歯科衛生士の方が認知症ケアにも多く関わっていただけるようになり、味覚や口腔内衛生に関してもたくさんのアドバイスをいただけるようになりました。私としては、いろんな視点から、認知症の方の食事についてケアしていきたいです。


投稿:男性 30代  介護福祉士 沖縄県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2012/07/23 19:41:07

認知症高齢者の方で症状の進行とともに、認知・判断・実行等がうまく機能できなくなる場合があります。食事等の興味や関心ごとも薄れる等、情報伝達・精神面でのコントロールが日常生活全般にうまくいかなくなる場合も考えられます。
 まず、食事・口腔アセスメントを行い、機能的に問題はないか確認をして頂き、生活歴や食事時間・量・嗜好品・好き嫌い・日常的に使っている器や箸等の個人の特性(個別化)から考えられるケアがないか検討する必要もあるかと思います。その次に、ぜひぜひ確認して頂きたいのが「覚醒状態」(どのぐらい覚醒しているのか?)ですね。合わせて1日の水分摂取量と食事カロリーとの関連させて考えて頂きたいと思います。
 以前、私は特養での勤務経験があり、ケア実践の中で職場先輩から(学識教授等)色んな勉強させて頂きました。個人の特性(生活歴)と介護基本的な側面から総合的にアセスメントをしていく必要があると考えられます。その理論として、これまたぜひぜひ活用して頂きたいのが「竹内式4大ケア」(水・めし・クソ・運動)です。
 その理論では、水分摂取量(栄養摂取・排便状態・運動量も関係)が日中の覚醒状態と認知・判断力に大きく関連し、1日に必要な水分量をきちんと飲んで頂くと、覚醒水準は高まり、認知面だけでなく欲求意識も高まってくるとあります。認知症高齢者の食事ケアは大変難しい部分もありますが、まずは総合的なアセスメントを行い、その上で職員による試行錯誤や事例・家族等から情報を得ながら、その人の世界(うまくいかない状況とは)に入りその人にあったその人の為のケアが実践できるといいですね!


投稿:男性 50代  その他 東京都 病院 家族介護経験なし 投稿日: 2012/07/20 14:30:52

その方の嚥下機能は保持されていることを前提で、以下記載いたします。
1、口腔内に食事を拒否する要因(義歯不適合、アフタ、歯痛など)はないでしょうか。
2、その方の食事の際の姿勢は問題ないでしょうか。
3、以上が問題なければ、食事をご提供した際に、その方の状況を数分でも結構ですので観察を行ってみてください。観察のポイントは”食事のどこまでが理解できているか”です。
その結果により介助方法は異なりますが、理解できている点が少ない結果であれば、食事(食事の時間であること)をどう理解していただくかの支援が中心となると思います。(以下全介助として記載いたします)
 @声掛けで食事時間であることの理解を促す。
 A少量の食事をスプーンなどで味覚刺激を促す。
 B食器と食具を持っていただき、食事の場面であることの理解を促しつつ、介助者が食事介助を行う。
 C金属の食具を木製などの他の材質へ変更する。(稀におられます)
以上などの対応を行い、2日間以上、飲水、飲食が困難であれば、経口以外の栄養・水分確保方法の模索を医療系職と行っていただければと思います。

ケースによって様々とは存じますが、可能性をパターンとしてまとめて情報のご提供をさせていただきました。


投稿:女性 20代  言語聴覚士 大分県 老人保健施設 家族介護経験なし 投稿日: 2012/07/20 0:13:37

老健施設で嚥下障害の方に関わらせていただいている、言語聴覚士(4年目)です。
よろしくお願いします。

当施設でも、機能的にお口の感覚や運動は大きく問題がないのに、認知面の問題から食べることに介助の必要な方がいます。また、機能的にも問題があり誤嚥のリスクが高い方もいます。

今回のテーマのような状態の利用者さんと関わるとき、自分だったら、
自分から食べ始めることができない場合、食べ始めるきっかけがないか探します。・・・食べれない、食べたくない原因を発信できる方にはまず聴いて対処できることを考える、食器や食べ物(おにぎりなど手に持てるもの)を手に持ってもらう、食事内容を説明する(食べ物を見る、献立を聴く、匂いをかぐなど)、最初の一口を手伝う、ご家族さんなどに好きな食べ物をリサーチして提供する、などです。
また、味が感じにくいことや食べるためのお口の準備ができていないことも考えられるため、食前に口腔ケアやアイシングをします。

よく口腔内に食べ物があっても、食べることを忘れたようにため込んだまま飲み込めない方もいます。
その際は、お口の中をスルーっと流れて飲み込めるポイントに持っていけるよう、食事形態をゼリーやミキサー状にしたり、機能的に大きく問題がなければ、スプーンで奥舌に食べ物を運んだり、注射器から食事をお口の奥に入れ込むなどします。食形態によっては、味が薄いこともあるため、味の濃い栄養補助や、ご家族の差し入れの梅干や海苔などあると、飲み込みの手助けになると思います。
他に、流れの良い水分と交互に摂取したり、重力で食事が飲み込むポイントに行くよう車椅子の角度を倒したり、食べ物がお口の中を移動するように頬や顎の下をもむ、軽く押すなどします。
また、返答の必要な質問などお話を入れて話す機会を作ることで、喋りにくい・・・お口にまだ入っている!と気づくように仕向けるなどします。

↑機能的に問題がある場合は、お口の奥に入れたり、お話しながら食べていると、口腔内で処理・対応ができず誤嚥しやすく危険ですが・・・。
認知症が進み重度の方では、失外套状態で目も閉じたまま声かけにも反応が乏しいままに、ただ口に入れられて反射的に飲み込むような状態の方もいますが、ムセやゴロ音など誤嚥の徴候がないか、聴診やSPO₂を確認しながら、その方に合った食形態や姿勢を調整し、無理のない範囲で食べるように対応しています。

食事介助の方法や口腔ケアも大事ですが、日頃の関わり、刺激を入れてあげることが食事にも関わってくると思い大切なことだと思います。寝たきりで1日中一言もお話されない方もいるかもしれません。話すことも、ご飯を食べることも、同じお口を使うため、話す機会が少なければお口の運動も衰えていく原因の一つになると思います。すれ違いざまに挨拶と体の調子を尋ねることは、自分も意識して気をつけています。

どうしてこの利用者さんは食べれないんだろう・・・と考えされられることが多く、OTさんや日頃関わりの多い介護士さんと相談しながら、上記のような内容で取り組んでいます。ご指摘があればよろしくお願いします。


投稿:男性 30代  介護福祉士 広島県 グループホーム 家族介護経験なし 投稿日: 2012/07/19 22:59:40

私の職場にも同様な方が複数名生活されており、職員間で頭を悩ませていました。個々により手法も異なり、工夫の仕方もひとそれぞれ。具体的なアドバイスはできないのですが、嚥下・咀嚼のメカニズムまではよくわからない私たちが、注目して取り組んでいるポイントがヒントになればと思いお伝えします。
 その方は手が動くのでしょうか?口元に注目しすぎて残存機能の見落としが生じていませんか?私たちの場合、認知症の方であれば「行動記憶」をさがしていました。指に食べ物を持ってもらい口に近づける、片手に茶碗又は箸を持ってもらった状態で介助する、目の前でミニせんべいを割り、半分あげるふりをして口をあけてもらうなど、条件反射的に食べようとするシチュエーションをさまざま試しました。
 岐阜の方がふれられたように口の開閉から少し離れた見かたからのアプローチをお勧めします。
 その方に介護従事者として勉強させていただいている、育てていただいているという姿勢でがんばってみてください。 余談ですが、その方の注意が介助者に向いてしまい、環境調整が用を成さないケースがあることもお忘れなく。  


投稿:女性 40代  介護支援専門員 岐阜県 デイサービス・デイケア 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2012/07/12 12:47:30

認知症や障害自立度がわからないので何といえませんが、当方の利用者で認知症の進行により、食事介助しようとしても口を開けなくなった利用者がみえます。
以前は粥などのミキサー食で対応していたのですが、それでは見た目も味気ない為、現在はミキサー食をゼラチン等で再形成されたソフト食を提供しています。反応は少ない方ですが、それでも彩の良いおかずを見てもらい、上唇を介護者が少し上へ押し上げるように刺激すると口を開けられるので、スプーンを刺し込むように入れます。口を閉じる反応はちゃんとあるので、スプーンを引き出せば、ゆっくりとした咀嚼と嚥下もできます。
こういった食どりの悪い方については、併せて褥そうの発生が予想されます。
この利用者もADLはC2レベルですので、仙骨部に褥そうが発生し、介護者の自宅介護ではポケット状にまで進行してしまいました。通常の食事だけでは栄養不足なので、体位交換や処置などの基本的なケアの他に、豆乳を小まめに飲んで頂き、栄養の補助をしました。
ホームではなかなか個別対応が難しいかと思いますが、食事環境(姿勢)、摂食量、回数など食事に直接関わることから、全身状態、疾患など色々な角度から検討されてはいかがでしょう?
時間内に規定量を食べてもらうことにだけに捉われないようにしたいものですね。


投稿:女性 40代  その他 埼玉県 その他 家族介護経験なし 投稿日: 2012/07/08 17:06:28

お疲れ様です。その方のメンタル面や施設での環境はいかがでしょうか?
食事だけでなく、他の事をする気力も低下していることも考えられると思います。
何かきっかけ作りを試みるのもよいのではないか?と思います。たとえば、食事の席を仲のよい入居者の近くにするとか、もし、ご家族が面会に来設されていたら同席していただくなどです。



投稿:女性 60歳以上  その他 神奈川県 その他 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2012/07/03 10:04:16

高齢者歯科診療、食支援に携わる歯科衛生士です
口を開けないということは、顎関節の異変で開けられないこともあります。
また口角炎があって大きく口を開けると痛みが出るので開けたくない方もいらしゃいます。
あくびができれば、顎関節症の危惧はあまり重篤ではないと考えてよいでしょう。

体調不良や脱水が長く続いて、経口摂取がうまくできないと重篤な状態におちいる心配があります。

棒つき飴(ペコちゃん、チュッパチヨップス)を水で濡らして口角から差し入れることはできるでしょうか

甘いものに本人が反応し、飴を受け入れてくれると口を開けてくれることがあります、うまくいけば、棒を引き抜こうとすると
口を閉じます。閉じると、嚥下が発動し、味覚刺激で出た唾液を飲み込むことに繋がります。

また口腔が過敏になっていることも考えられますので、保湿剤を指につけ、口唇を軽くやさしくマッサージするだけでも
脱感作につながり、少しずつ開口してくれるようになることもあります
参考まで
            



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