認知症ケア事例ジャーナル Netカンファレンス
 
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今月のテーマ

私は,特別養護老人ホームのリハビリ担当看護師としてこの春から勤めています.子育て中のため,非常勤職員として9〜16時までの勤務をしています.私の勤める施設のことでご相談させてください.

食欲不振のためにPEG(内視鏡を用いて、胃に栄養を送るための小さな穴をおなかにつくる手術のこと;胃ろう)から流動食を入れている利用者(78歳,血管性認知症,うつ病,寝たきりによりADLは全介助)がいます.私が担当する前からゼリーを週2回全介助で食べていました.現在は嚥下状態もよく,流動食をむせずに全量食べてくれます.本人から「もっとさまざまなものが食べたい」という言葉があり,医師に相談したところ,嚥下食を開始してよいという指示が出ました.
食事らしい食事を食べさせてあげたいのですが,ほかの看護職員たちの協力が得られず,朝食,夕食,私が休みの日はPEGから流動食を入れている状況です.看護師たちは「介護職員に介助させればよい」「いまはよくても嚥下機能は落ちてくるのだから経口から食べさせてなにかあったらどうするのか」「このままで問題ない」と言い,介護職員たちは,全介助で食事をとる人が多いため「看護師に入ってもらわないとむずかしい」と言います.介護職員たちは常に痰がつまらないか,誤嚥性肺炎なのではないかと不安を抱えているのですが,看護師たちはその気持ちを理解してくれません.フロアーには寝たきりの人,歩行のできる認知症の人などさまざまな利用者がおり,手がまわらない状況があります.
施設長に業務命令として看護師に食事介助をさせてもらえないかとお願いしましたが,「看護師に辞められると困るから」となにもしてもらえません.このまま1人でがんばることはむずかしく,ストレスを感じています.
今後,私はどのように対応すればよいでしょうか.みなさまの意見をお聞かせいただければと思います.

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投稿:女性 40代  その他 東京都 その他 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2009/12/08 18:05:39

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編集委員会より
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今回は4人の方から貴重なご意見をいただきました.ありがとうございました.
本ケースについては,本人の「食べたい」という思いがなかなかスタッフに伝わらず,悲しい思いで相談したとのことでした.結局,別の看護スタッフ1人の協力を得て,1日2食の介助が可能となり,数週間後には「このくらい食べることができるのなら」と介護スタッフが介助してくれることになり,3食易嚥下食を食べてもらうことが可能になったとのことです.
みなさまの意見にもありましたが,このケースには第三者からみると,「どうしてなんだろう」と思うところがありました.たとえば,食欲不振という理由でPEGをつくってよいのであろうか,という点です.PEGを造設した医学的な理由がなにかあったのかもしれないですが,記録に残っておらず,当時スタッフでなかった者に伝わらないということがあるのかもしれません.
また,PEGを造設しても再度経口摂取にもどすことは可能です.しかし,この施設のスタッフにはあまりそういった認識がなかったように思われます.認知症や高齢で神経難病など進行性の疾患がある場合,いずれ経口摂取ができなくなるという予測から,経口摂取を可能にするという努力をおろそかにする傾向があるのかもしれません.あるいは,「リハビリを行うのはリハビリの担当者であるから,自分たちにはその資格,能力がない」と思い,協力しないのかもしれません.
「食事」は文化であり,価値観が反映されます.楽しみである一方で,嚥下機能が低下してくる認知症をもつ高齢者では誤嚥の危険もあること,また,栄養や水分の不足はほかの疾病や生命の危険を招くことから,この人にとってどのような食事がよいのかということについて,スタッフ間の意思統一を図るむずかしさがあるように思います.まして,多職種を集めたカンファレンスで「その人を中心にケア方針が定まる」という経験が少ない施設ではたいへんむずかしい課題であったのではないかと思われました.
ご意見にもあったように,スタッフ間での率直な話し合いの下,その利用者にとってなにがいちばんよいかが発見され,その方針でケアが提供されていくことが施設の文化となっていくことを期待したいと思います.


投稿:女性 50代  看護師・保健師 徳島県 グループホーム 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2009/12/07 17:44:15

あなたは一人で頑張ろうとしているように思えます。チームで目標を達成するのは足並みがそろわなければならず、一人では困難ですよね、あせらずに、あなたが先走りせず、少しずつ皆に分かってもらえるよう努力すると助けてくれる人がデテくると思います。


投稿:女性 40代  社会福祉士 兵庫県 特別養護老人ホーム 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2009/11/24 21:25:16

最初に相談内容を読ませていただいた時に疑問が出てきてしまいそのことから書きたいと思います。最初の方に食欲不振のためにPEGを造ったとありますが、PEGはそのような理由で造られてよかったものだったのだろうかというものです。嚥下障害で誤嚥性肺炎を繰り返えしたり、食物を飲み込むときに問題がある場合に造られると理解していました。どのような状況でそのような選択になったのか、どこまでのアプローチをした上での選択だったのだろうか考えてしまいました。
 相談の件ですが、施設の考え方に、忙しい中で介護量が増えること、事故に対する恐れなどが感じられます。介護職の人たちや看護職の人たちは、これでいいと本当に思っているのでしょうか、何とかしてあげたいけど、でも、今は無理と思っているのでしょうか、相談者の方の話に関心を示してくれる人はありませんか。それによってアプローチは変わってくると思います。嚥下状態に本当に問題がないのであれば、朝・昼・夕のいづれか1回から、またはおやつなどから、介護職にお願いして経口摂取を始めてみてもよいのではないかと思います。その積み重ねから、経口摂取が広がればと思います。いづれにしても、人として生きる上での愉しみ、生きている実感を入居者さんに感じてもらうには何が必要かを踏まえて、本人・家族・いろいろな職種によるカンファレンスを行ってみてほしいと思います。(介護の責任者に働きかけてみてください)そこで、今できること、職種間で考えられる問題点や他職種のこのような支援があれば可能だというような話をしていかれればどうでしょうか。


投稿:女性 30代  介護福祉士 和歌山県 特別養護老人ホーム 家族介護経験なし 投稿日: 2009/11/13 16:59:31

私も、特別養護老人ホームで働いています。だから、他のスタッフの協力が得られず、困ってしまうことがある気持ちがわかる気がします。
 いろんな職種の人が集まる職場だと、それぞれの立場や、考え方があってなかなか意見が一致しないことも多いと思います。でも、話し合って利用者さん本人が望む方向で進めていけたらいいですよね。テーマにあるような状態だと、ケアマネ、介護職員、看護士、栄養士等の関係スタッフ(できたらお医者さんも)、家族さん、利用者さんなどみんなで集まって話し合うことが大切だと思います。とても良い想いでも、実際問題現場で対応できない中で行うとやはり危険なこともあると思います。みんなで納得のいく方向を見つけてひとつの目標に向かってケアできることが大切ではないかと思うのです。 それに、みんなで話し合った事なら、看護婦さんだって介護職員に任せればよいなんて言えなくなるんじゃないかな。


投稿:男性 40代  介護支援専門員 広島県 特別養護老人ホーム 家族介護経験あり(現在) 投稿日: 2009/11/13 11:57:17

本人が、「もっとさまざまなものが食べたい」と言うの気持ちを受け止め、何とかしたい貴方の気持ちは、わかりますが、現場の思い、考え方を変えるのは大変だと思います。最近、入った者が何がわかるんだと言われると思います。
 私が貴方の立場(リハビリ担当看護師)だったら、こんなことから始めます。食事摂取のためのリハビリです。まず、食事をするために、ベット上の食事をやめ、食堂にて、イスに正しい姿勢で座ってもらい、食事をする前の口腔体操を行い、それから、食事を摂るようにします。誤嚥性肺炎防止のために、食事形態の見直し「一般的に、誤嚥防止のために、とろみをつけるだけなら、かえって誤嚥することが多いので、ゼリー食形態のほうが、嚥下をしやすいみたい」そして、口腔ケア「これは、介護職に任せます」です。毎月2回、その人の嚥下機能評価します。評価の方法は2つ。1つは「改訂水飲みテスト」(MWST)・・・ごく少量の水を舌の上に落して、嚥下反射を見る。さらに続けて嚥下してもらう。ムセるかムセないかを見る。もう1つは「「咳テスト」(CT)・・・クエン酸を加えた生理食塩水を「ネブライザー」という容器に入れて噴霧、口から呼吸してもらいながら、咳の出る回数を見る。こうしたチェックをして嚥下機能のおおよその状態を知る。機能評価の結果、大丈夫と他の看護師の理解してもらうと思います。嚥下能力をあげるためのリハビリをすることで、介護職の労力負担軽減が図れることができるという解いたらどうですか?そのためには、貴方の知識を磨く必要があると思います。報酬改定のための建前だけのリハビリ担当看護師ではまずいですよ。施設の考え方を変えれるよう頑張ってください。



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